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弱者と環境に配慮し、運行開始40周年 千葉県佐倉市の団地を走る地域密着鉄道「山万ユーカリが丘線」 

「山万ユーカリが丘線」が運行開始40周年 弱者と環境に優しい理念掲げ 画像1
山万 運行当初の「こあら号」

 

 千葉県佐倉市の住宅団地「ユーカリが丘」を走る地域密着鉄道「山万ユーカリが丘線」が、11月2日で運行開始から40周年を迎えた。

 鉄道は、ユーカリが丘を開発した山万(東京都中央区)が経営。団地内のすべての住宅を駅から徒歩10分以内につなぐ1周14分の周回鉄道。騒音や振動、排ガスを生じない環境に優しい鉄道で、ユーカリが丘のシンボルとして地元住民に親しまれている、という。

 ユーカリが丘の開発は、有機水銀や硫黄酸化物など、大企業が海や大気にまき散らした有害物質に起因する「水俣病」や「四日市ぜんそく」などの公害が社会問題化した1970年代に開始。開発理念に「環境共生」を掲げ、排ガスを出さないなど、環境に優しい鉄道「ユーカリが丘線」を計画に組み入れた。

 近年は、顔認システムを使ったチケットレス乗降車「顔パス決済乗車」や、駅間をつなぐ高齢者や子育て世代の外出を支援する路線バス「こあらバス」との連動など、地域住民の円滑な移動を目指したさまざまな改善に取り組んでいる。

 山万は「年配者や身体の不自由な方が快適に駅を利用できるよう、スタッフの大半がサービス介助士資格を取得。安心して電車の乗り降りや駅構内の移動ができるよう努めている」としている。40周年を記念し、ユーカリが丘駅では記念キーホルダーを販売中。