カルチャー

家事“無能力”の昭和の父は老人以上、介護未満 サポートした5年間の奮闘の記録

 

 かなり多くの人が身につまされていることかもしれない。心身ともに元気なのに、生活に「助け」が必要な老齢の父親。いわゆる「要介護」ではないのに、一人では日常生活が立ち行かない。そんな父親をサポートした5年間の奮闘の記録『介護未満の父に起きたこと』(ジェーン・スー著、新潮社、税込み990円)が、発売された。誰かの助けがないと生きていけない“お年ごろ”の父といかに付き合うか。七転八倒の5年間の記録だ。

 コラムニストやラジオパーソナリティーとして活躍中の著者の父親は、訳あって5年前に突然一人暮らしが始まった82歳。心身ともに元気なのに、家事がほとんどできない「昭和の男」で、その生活に黄信号がともった。娘であり唯一の家族である著者が一念発起し、毎食の手配から大掃除までサポートに奔走したという。

 「ペットボトルが開けられない」「明日の予定がわからない」など、日に日に「できないこと」が増えていく父親の生活を、献身的に、ときにウンザリしながら支えていく。合言葉は、「ビジネスライクに」。誰もがいきなり「要介護」となるわけではなく、「老人以上、介護未満」という期間があり得る。「介護前夜」に備えるためにも読んでおきたい。