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クリスマス・アルバムの季節がやってきた! カーペンターズ、フィル・スペクター、マライア・キャリーなど名盤を聴いてみよう

左から『クリスマス・ポートレイト/カーペンターズ』、『メリー・クリスマス/マライア・キャリー』、『ホワイト・クリスマス/ビング・クロスビー』
左から『クリスマス・ポートレイト/カーペンターズ』、『メリー・クリスマス/マライア・キャリー』、『ホワイト・クリスマス/ビング・クロスビー』

 これまでに多くのクリスマス・ソングを集めたアルバムがリリースされてきた。今年もそんなホリディ・シーズンに入ったが、ユニバーサルミュージック(東京)は「クリスマス・アルバム名盤集」全25タイトルを生産限定盤として税込み1,500円で発売している。

 その中からまず紹介したいのは、カーペンターズの『クリスマス・ポートレイト』(1978)。クリスマスの定番曲の数々を、カレンが艶やかで心温まるボーカルで歌い上げている。

 カレンは当時、こう語っていた。「クリスマス・アルバムはずっと作りたいと思ってたの・・・このアルバムの録音には1年以上かけたのよ。スタジオの廊下を通る人は、“この8月の最中に何やってるの? もうクリスマス?”って感じだった。でも私は1年中ずっとクリスマスでもいいし、昼でも夜でもって感じ。クリスマスって大好きだもの!」

 カレンが亡くなった後、兄リチャードは彼女の遺志を継ぎ、前作に収録し切れなかった楽曲群を使って’84年に『オールド・ファッションド・クリスマス』をリリースした。このアルバムもユニバーサルミュージックの「名盤集」にラインアップされている。

 マイケル・ジャクソン擁するジャクソン5の『クリスマス・アルバム』(’70)も「名盤集」の中に見つけることができる。マイケルのキュートなナレーションで始まる「ママがサンタにキスをした」や、「サンタが町にやってくる」、「赤鼻のトナカイ」などのクリスマスの定番曲が収録されている。

 夏のイメージが強いビーチ・ボーイズ初のクリスマス・アルバム『ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム』(’64)の再発に伴い、第2弾として’77年に録音されながらも発売されなかった『メリー・クリスマス・フロム・ザ・ビーチ・ボーイズ』からの6曲を収録した完全盤(’98)として今回、お目見えした。「ホワイト・クリスマス」と「ブルー・クリスマス」ではブライアン・ウィルソンが素晴らしいボーカルを披露している。

 2006年のクリスマスに世を去ったジェームス・ブラウンはキャリアのピーク時にクリスマスをテーマとしたアルバムを3枚レコーディングした。陽気なソウルパワーが全開の『ジェームス・ブラウン・シングス・クリスマス・ソングス』(’66)、『ソウルフル・クリスマス』(’68)、『ヘイ・アメリカ(イッツ・クリスマス)』(’70)が世界初の単独CD化された。

『クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター』 (輸入盤レコード)
『クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター』
(輸入盤レコード)

 一方で、米ローリングストーン誌は2019年に「史上最高の“クリスマス・アルバム”トップ25」を発表した。堂々の1位に輝いたのは『クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター』(’63)だった。スペクターが生み出した「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」が全編を貫き、ロネッツ、クリスタルズらがボーカルとして参加。「ポップ・ミュージックの名盤」としても人気を博している。Sony Legacyから再発された輸入CDが現在も入手可能だが、残念ながらジャケット写真は、サンタクロースに扮(ふん)したスペクターではない。

 近年のクリスマス・ソングとして最も有名なのはマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」だろう。山口智子、松下由樹、柳葉敏郎らが出演したフジテレビ系ドラマ「29歳のクリスマス」に使われたことから、人気が爆発。この曲を収めたアルバム『メリー・クリスマス』(’94)は全世界で1,400万枚、日本だけでも280万枚のセールスを記録した(25周年記念盤=SICP-31317~31318=が税込み3,300円、通常盤=MHCP-509=が同1,870円、DVD1枚+CD1枚=SICP-980=が同2,860円で入手可)。

 クリスマス・クラシックともいえるのがビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』だ。1941年発売の「ホワイト・クリスマス」はおよそ5,000万枚を売り上げ、「ギネス世界記録」にレコード史上最も売れたシングルとしてその名を刻んでいる。もともとは1945年に『メリー・クリスマス』としてリリースされたアルバムだが、レパートリーを拡大して、その名曲をタイトルに冠した『ホワイト・クリスマス』として’86年に再発された。(SHM-CD仕様=UCCU-5901=が税込み1,650円で入手できる)

 米ローリングストーン誌のランキングで2位につけたのは「キング」ことエルビス・プレスリーの『エルヴィス・クリスマス・アルバム』(’57)。発売後、1カ月にわたって米ビルボードチャートの首位に君臨し、約2,000万枚を売り上げたという。

 面白いところでは、2009年に発表されたボブ・ディランの『クリスマス・イン・ザ・ハート』。米ローリングストーン誌は「このしわがれたバリトン声が同作に従来の価値観を覆す魅力を与えているのだ・・・ディランは本物のノスタルジーと淡い繊細さを込め、昔のアメリカ音楽に敬意を示しながらも自らの物語の一部として解釈している」とした。

★ユニバーサルミュージックの「クリスマス・アルバム名盤集」は以下の25タイトル。

〇アーロン・ネヴィル『ソウルフル・クリスマス』(UICY-80182)

〇ウィーザー『クリスマス・ウィズ・ウィーザー』(UICY-80183)

〇カーペンターズ『クリスマス・ポートレイト』(UICY-80184)

〇カーペンターズ『オールド・ファッションド・クリスマス』(UICY-80185)

〇サウンズ・オブ・ブラックネス『ナイト・ビフォア・クリスマス』(UICY-80186)

〇ジェームス・ブラウン『シングス・クリスマス・ソングス』(UICY-80187)

〇ジェームス・ブラウン『ソウルフル・クリスマス』(UICY-80188)

〇ジェームス・ブラウン『ヘイ・アメリカ(イッツ・クリスマス)』(UICY-80189)

〇ジャクソン5『クリスマス・アルバム』(UICY-80190)

〇ダイアナ・ロス&シュープリームス『クリスマス・ベスト』(UICY-80191)

〇ダイアナ・ロス『ワンダフル・クリスマス・タイム』(UICY-80192)

〇チップマンクス『クリスマス・チップマンクス』(UICY-80193)

〇デヴィッド・フォスター『クリスマス・アルバム』(UICY-80194)

〇ドナ・サマー『ホワイト・クリスマス』(UICY-80195)

〇ベンチャーズ『ベンチャーズ・イン・クリスマス』(UICY-80196)

〇ボーイズIIメン『レット・イット・スノウ』(UICY-80197)

〇リンゴ・スター『アイ・ウォナ・ビー・サンタクロース~リンゴのクリスマス・アルバム』(UICY-80198)

〇ナナ・ムスクーリ『愛しこの夜~オンリー・ラヴ・クリスマス+1』(UICY-80199)

〇ポール・モーリア『ホワイト・クリスマス』(UICY-80200)

〇スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ『クリスマス・ベスト』(UICY-80202)

〇テンプテーションズ『クリスマス・ベスト』(UICY-80203)

〇ザ・プラターズ『ホワイト・クリスマス』(UICY-80204)

〇ビーチ・ボーイズ『ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム完全盤』(UICY-80205)

〇ヴァリアス・アーティスツ『モータウン・クリスマス・クラシックス』(UICY-80206)

〇『ホワイト・クリスマス<オリジナル・サウンドトラック盤>』(UICY-80207)