生態系に大きな影響を与えているプラスチックゴミ問題。漁網などの漁具の多くもプラスチックでできていて、海に流出した漁網などは「ゴーストギア」(ghost gear)と呼ばれている。その量は年間50~115万トンほど。海を浮遊するゴーストギアがウミガメやアザラシなどの体に絡み付き、多くの海洋生物に深刻な被害を与えている。そのような中、米・カリフォルニアの「ブレオ社」(bureo)は廃棄された漁網の回収・リサイクルを実施。漁網をアップサイクルした衣類・サングラス・おもちゃなどを開発している。そのラインアップに新たに加わるのが、パタゴニアの「ネットプラス・コレクション」だ。今年の秋冬ものから、人気のダウンコートも100%漁網をリサイクルした生地「ネットプラス」で作られている。
今シーズンからリサイクルナイロンであるネットプラス100%となったのは、「ダウン・セーター」(税込み35,200円)と「ダウン・セーター・フーディ」(同41,800円)。ともにメンズとウィメンズがあり、ダウン・セーターはそれぞれforge grey・black・amaranth pinkなど6色展開(男女でカラーバリエーションは異なる)。メンズのフーディは5色展開になっていて、ウィメンズのフーディはpampas tan・black・hemlock green・sound blueの4種類がある。
ダウン・セーターとフーディはともに、使えなくなった漁網をアップサイクルすることで海洋プラスチックゴミの削減に貢献。さらに、「レスポンシブル・ダウン・スタンダード」(RDS)の認証を取得していて、動物福祉にも配慮した商品になっている。パタゴニアのネットプラス・コレクションは全74種類。ダウン・セーターとフーディが新たに加わったことで、今シーズンは344トンの漁網を衣類へと生まれ変わらせたという。
防風・防水や耐久性の観点から、衣類にナイロンなどのプラスチックを完全に使用しないのは難しいだろう。しかし、どのようなプラスチックや原料の商品を選ぶかは、私たち消費者にかかっている。