はばたけラボ

【はばたけラボ 子育て質問箱】声をかけなくても、子どもが自発的にお手伝いをするようになってほしいです。

 未来世代がはばたくために何ができるかを考えるプロジェクト「はばたけラボ」。食べること、くらすこと、周りと関わること、ワクワクすること・・・。今のくらしや感覚・感性を見直していく連載シリーズ。今回は、弁当作りを通じて子どもたちを育てる「弁当の日」の提唱者・竹下和男(たけした・かずお)先生が、子どものお手伝いについての悩みにアドバイスします。

 

声をかけなくても、子どもが自発的にお手伝いをするようになってほしいです。
【質問】

 小学校の冬休みに「家のお手伝いをする」という宿題が出ました。冬休み中は、「食事の後、家族みんなの食器を片付ける」というお手伝いを嫌がることもなく毎日していたのですが、学校が始まった途端にやらなくなってしまいました。親が強く促せば手伝うのですが、自分から進んでお手伝いができるようになってほしいと思っています。どうしたらいいでしょうか。

▼「家族の働き方改革」と「大人(親)になるための練習」を試してみては?
【竹下和男先生の回答】

 冬休み中、あなたの小学生のお子さんは、家族みんなの食器を片付けるお手伝いをしてくれたのですね。よかったですね。学校が始まった途端にやらなくなっても、それは普通のことです。気に病むことはありません。お子さんも学校生活が始まって、冬休み以前の忙しい生活に戻ったのでしょう。強く促せば手伝ってくれるのなら、頼りになるお子さんですよ。

 さて、自分から進んでお手伝いをするようになってほしいと願っておられることについて、二つの改善策を考えてみます。

 まず、そう願う理由が、「親の忙しさが限界に近いので、少し楽になりたい」と思っておられるのなら、家族で話し合って、家事を分業することです。「これは不公平だな」とみんなが思うことがあるなら、まさに「働き方改革」を始めることです。子どもにとっても、家事のあり方を考える、いい機会になります。

 もう一つ。子どもの将来のことを考えた時、一通りの家事をこなせるように育てておきたいと願っておられるのなら、「大人(親)になるための練習をしない?」と誘ってみることです。

 子どもって、意外と真剣に親のしていることを観察しています。親が楽しそうに台所仕事をしていると自分もやりたがり、ぼやきながら料理をしているとやりたがりません。親の様子をみながら自分にできそうな仕事を探して、体験したがっているのです。簡単なことからやらせて、できばえを上手にほめると、次々と新しいことにチャレンジしていきます。

 「子どもは失敗をする権利がある」と思ってください。失敗を繰り返しながら、自分のレベルを理解し、レベルアップを目指していきます。そこから、失敗にくじけないたくましさや、大きな失敗を未然に防ぐ能力も育っていきます。

 「子どもが作る弁当の日」に取り組んだ子どもたちは、自作弁当を友だちと見せっこしながら、失敗談をするのが大好きです。話す方も聞く方も笑っています。共感しあっているのです。

 弁当作りは、失敗が失敗で終わらない利点があります。卵焼きのはずがスクランブルエッグになっても、野菜や肉を炒めすぎても、おむすびが三角にならなくても、みんなと楽しく食べることはできるし、次の「弁当の日」にまたチャレンジすればいいのですから。

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竹下和男(たけした・かずお)/1949年香川県出身。小学校、中学校教員、教育行政職を経て2001年度より綾南町立滝宮小学校校長として「弁当の日」を始める。定年退職後2010年度より執筆・講演活動を行っている。著書に『“弁当の日”がやってきた』(自然食通信社)、『できる!を伸ばす弁当の日』(共同通信社・編著)などがある。
 #はばたけラボは、日々のくらしを通じて未来世代のはばたきを応援するプロジェクトです。誰もが幸せな100年未来をともに創りあげるために、食をはじめとした「くらし」を見つめ直す機会や、くらしの中に夢中になれる楽しさ、ワクワク感を実感できる体験を提供します。そのために、パートナー企業であるキッコーマン、クリナップ、クレハ、信州ハム、住友生命保険、全国農業協同組合連合会、日清オイリオグループ、雪印メグミルク、アートネイチャー、東京農業大学、グリーン・シップ、ヤンマーホールディングス、ハイセンスジャパンとともにさまざまな活動を行っています。