「アイドルグループ」と一口で言っても千差万別。「=LOVE」(イコールラブ、略称イコラブ)は、アニメ世界のアイドルのような女性10人組です。
元々、代々木アニメーション学院と指原莉乃さん(元AKB48・HKT48)が、声優教育を施した新しいアイドルをプロデュースするというプロジェクトから、2017年に誕生しました。その後、同じく指原さんプロデュースの姉妹グループ「≠ME」(ノットイコールミー、略称ノイミー)と「≒JOY」(ニアリーイコールジョイ、略称ニアジョイ)も生まれています。
イコラブの第1の魅力といえば、歌唱力の高さです。アーティストの一発撮りパフォーマンスが見られる人気YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で、イコラブの佐々木舞香さん、野口衣織さん、諸橋沙夏さんの3人が「あの子コンプレックス」という切ない曲を歌った回を、ご覧になってみてください。吐息の使い方から語尾の余韻まで、一発撮りでも完全に、繊細に表現しています。喜怒哀楽の「哀」をここまで出せるアイドルは、中森明菜さん以来? と思うくらいです。
第2の魅力は、仲の良さ。メンバー同士でいつも「かわいいよ」などと褒め合っている姿が、ものすごく平和で癒やされますし、お互いをリスペクトする関係はパフォーマンスにも確実に表れています。この平和さと質の高さゆえに、彼女たちを現実ではなくアニメの中のアイドルかとさえ感じるんです。しかも、一人一人が「個」として立てる、ヒロインになれる精神もあるのがいい。異なる10の個性がギューッと集まって高みへ向かう。イコラブの表現は無限大だと感じます。
中でも、個人的に引き込まれるのが野口さんです。私が担当しているラジオの生放送に、イコラブは何度もゲスト出演してくださっていて、話すと野口さんはすごく謙虚。声がかわいく、ずっと楽しそうにいてくれます。「部屋が片付けられないです」とか、ちょっとずぼらでおっちょこちょいなのですが、ライブを見に行くと、色気が出て、かつミステリアス。「この人を詳しく知りたい!」と本能的に思わされます。ミュージックビデオなら例えば、女性のドロついた情念を歌うソロ曲「拝啓 貴方様」(発表時21歳)の彼女は、格好良くて妖艶で、椎名林檎さんのようです。
一方でイコラブは、今夏リリースした「ナツマトペ」のように〝ザ・アイドル〟な歌ももちろん似合います。女性のリアルな気持ちからキラキラな世界まで、作詞を手がけて共感を呼んでいるのは他ならぬ指原さん。イコラブファンは女性が多いといわれています。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 40からの転載】
山崎あみ(やまざき・あみ)/1997年生まれ、東京都出身。音楽大卒。interfm「MUSIClock」(略称みゅじろく。月―木曜午前7時~8時55分)メインDJ。ポッドキャスト番組「山崎あみ『うるおう』リコメンド」(うるりこ。金土曜更新。共同通信社制作)出演中。