コロナ禍の巣ごもり需要による追い風などで脚光を浴びるハンドメード市場。オンラインでの購入のみならず、リアルの場でクリエーターとの会話を楽しみながら商品を購入できるハンドメードマーケットは全国で浸透している。
1月21~22日、オンラインCtoCマーケットプレイスのCreema(クリーマ・東京)が主催する日本最大級のハンドメードマーケットプレイス「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2023)」(以下、HMJ) が、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。
今回で12回目の開催となったHMJは、全国各地で創作活動に取り組む約3000人(延べ)のクリエーターたちが出展した。会場は小さなショップが立ち並ぶ「マーケット」、伝統工芸士や人気クリエーターによる作品づくりを体験できる「ワークショップ」、クリエーターが目の前で描き上げる「ライブペインティング」の 3つのコンテンツで構成された。
マーケットでの出店ジャンルは、アクセサリーやバッグをはじめとするファッションアイテムを中心にインテリア、キッチン、アート、器など、こだわりの一品を求める女性ユーザー向けの商品がメイン。また今回は「ベビー・キッズ」「ペットグッズ」のカテゴリーが初登場し、服や入園・入学グッズ、ペットアイテムなども注目を集めた。
さらに、人気クリエーターのものづくりを体験できるワークショップでは、レザークラフトやボタニカルアート、リース・テラリウム作り、パンチニードルなど、子どもから大人まで楽しめる40種類以上の本格的なワークショップが開催された。
また毎回人気の伝統工芸コーナーには、東京の工芸品とアイヌ工芸が初登場し、過去最多の6地域、40事業者の伝統工芸が集結した。初登場した東京ブランド「Tokyo Tokyo」の特設ブースでは、江戸切子や江戸木目込の招き猫などが展示・販売された。さらに認定工芸士による実演や、Creemaのクリエーターとコラボした作品の展示販売も行われた。
HMJの来場者は、主に人気クリエーターが販売するイベント限定のアイテム購入を目的に来場する人が多く、人気の商品は午前中で完売してしまう商品もあるという。また、クリエーターとの対話を楽しみながら作品を手に取り、クリエーターとの新たな出会いやフードメニューを楽しみに来る人も多いという。
一方、出店者であるクリエーターは、HMJの出展をきっかけに、主婦や学生、副業を行う社会人が自分の特技を生かし新しい働き方に出会う人も多いという。また会場では百貨店バイヤーとの出会いにより活躍の場を広げるクリエーターや、新たなファンを生み出すきっかけにもなっているという。
美術大学の学生時代からクリーマで陶芸作品を販売していたという、陶芸家・佐藤百合奈さんは、現在「Lily_Ceramic」という陶磁器ブランドを展開。学生時代に学んだ陶芸の技法を生かした作品を販売し、現在は百貨店でイベント販売を行うなどの人気クリエーターになったという。佐藤さんは出展について、「このようなリアルな場で作品を直接手にとって見てもらえるのはうれしいです」と語った。
また、透明樹脂作家・ニケルxpさんも、大学で学んだ応用化学(有機合成化学)の知識を生かし、学生時代からエポキシ樹脂(混合レジン)を用いた作品を販売していたという。現在、「生体メモリ」(USBメモリ)などの樹脂作品で人気クリエーターの道を歩み始めたニケルxpさんは、「HMJは2017年に初めて出展しました。その後の反響で作品販売をはじめました」と出展の経緯を明かしてくれた。
次回、10周年となるHMJは、7月22(土)、23(日)に開催予定。この夏、“推し”のクリエーターを発見して、メードインジャパンのクラフトマンシップに触れてみてはいかがだろう。