京都府立堂本印象美術館(京都市)は、独自の社会風俗画により日本画壇に刺激を与えた堂本印象(1891~1975)の企画展「若き日のロマン、大正時代の印象さん」を12月9日から2024年2月25日まで開催する。入場料金は一般510円、高大生400円、小中生200円。65歳以上および障害者手帳の提示(介護者1人含む)で無料。
今回の企画展では、画家になる前の若き日の印象が描いた女性像を中心に、大正ロマン漂う世界を紹介。多感な青年の印象に大きな刺激を与えた大阪、京都の女性たちや街並みを描いた作品を展示する。
![「浪速港涯絵巻」1912年 京都府立堂本印象美術館蔵](https://d10tw3woq6mt3i.cloudfront.net/wp-content/uploads/2023/12/fb5393736b3f54c49ff1d95af9df3728.jpg)
堂本印象は、江戸時代から続く京都の造り酒屋の三男として生まれた。読書や絵画好きだった少年は京都市立美術工芸学校に進学する。しかし家業が傾き、ほどなくして父が病で倒れたため、日本画家を養成する上級学校への進学を断念した。
親と6人の弟妹たちを養うため、三越図案部で図案描きの仕事を経て、京都・西陣の龍村平藏の織物工房で帯や着物の図案家となる。給料は家族のために、自身の生活費は内職で稼ぎ、木彫人形を制作していたという。その木彫人形は人気を博し、100体以上制作したともいわれている。
![「羽衣」1914年 京都府立堂本印象美術館蔵](https://d10tw3woq6mt3i.cloudfront.net/wp-content/uploads/2023/12/2143bdf1fbdee688136b07f585c7b54f.jpg)
しかし、画家への夢をあきらめきれない印象は、かねてからその才能を認めていた龍村の支援を受け、京都市絵画専門学校に入学し、ようやく画家への道を歩み始める。
後に印象は、社会風俗画を得意とし、抽象表現の世界に分け入り、大作を発表して画壇に確固たる地位を築く。一方で各地の寺社仏閣の障壁画にも多くの作品を残した。
![「おばけ(花街の節分会)」大正初期 個人蔵](https://d10tw3woq6mt3i.cloudfront.net/wp-content/uploads/2023/12/533175b66c8403d5ae4907e0199de162-e1701429008100.jpg)
「第4回京都工芸美術作家展」(The 4th Kyoto Craft Artist Exhibition)も同時開催。