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【体験リポート】政治家のパーティーをのぞいてみると・・・ 2万円の価値ってあるの?

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 年1回の通常国会が閉会となったが、そこで最も注目されたのが裏金問題だろう。パーティーで集めたお金を還流しながら、収支報告書に記載しなかったこの問題は世間で批判を浴びた。ところで、この政治家のパーティーは実際にどのように行われているのだろう? 世間一般のパーティーと何が違うのか? ──実際に政治家のパーティーをのぞいてみると・・・。

 結論を言えば、開催されるのはごくごく一般のパーティーである。ただ、開催する政治家や招待する人数によって形式はさまざま。単に、通常のパーティーもあれば、著名人の講演会、卓話が付く場合もある。食事が提供される場合も立食、着席形式とパターンはまちまちだ。形式は異なるものの、政治家のパーティーの目的はただ一つ。金額の大小に関わらず政治資金を得ることにある。

 パーティーを禁止する法案を提出しながらパーティーを計画した政治家がいる政党のケースもあったが、パーティーそのものは決して悪い訳ではない。政治資金規正法第8条の2に規定されたものであれば問題はないのである。実際に政治活動を行うと、お金がかかるため、合法的な資金獲得のツールとしてパーティーの開催が認められているのだ。では、なぜパーティーが悪の権化のようにいわれたかというと、収支報告に記載することなく裏金にしたためである。

 パーティーには食事がつきものだが、政治家のパーティーについて、食事を楽しみにして出席する人は皆無に近いだろう。著名人の講演会が付いている場合、その人の話がなかなか聞けるものではない──と、そこに価値を見いだせる例もあるが、多くは所属政党の幹部の講話であり、極端な場合は街頭活動の演説と話の内容が変わらないこともある。余興として、マジックショーや歌手のミニコンサートなどが行われることがあるものの、それはオマケの域を出ていない。楽しめるパーティーというのはごく少数といえるだろう。

 名称については「〇〇君を励ます会」「〇〇さんと語る会」というネーミングが一般的。中には、本を出版した政治家による「〇〇先生の△△の出版記念パーティー」といったものや、公私に関わらず変化があった場合の「〇〇県議の議長就任を祝う会」「〇〇先生、△△大臣就任を祝う会」なども多い。筆者が出席したものの中には「〇〇君の養子縁組を祝う会」というのもあった。逆に言えば、パーティーを開く理由付けは何でもよく、とどのつまり資金獲得が目的なのだ。

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 さて、お値段、いわゆる会費だが、これも政治家によって大きく異なる。たとえば、地方議員の中にも開く政治家が少なくないが、県会議員、市会議員だと数千円から1万円の価格設定が多い。国会議員は朝食会や日中の勉強会と称した会合などでは、同じく数千円から1万円となるが、ずばり、一般的な政治資金パーティーの相場は2万円である。個人で参加する場合は2万円で済むが、企業が支援のため後援会に所属している場合、10枚、20枚単位で購入するため、自然と高額となる。

 また、パーティーに招待する形で別の政治家に券を送る場合、そのパーティー券には金額のところに赤く横線が2本引かれ、その横に「ご招待」と印字してあるが、これが儀礼上のことで、「しめしめ、タダになった」などとは思っていけない。相場通り2万円を祝儀袋に包んで支払うのである。

 この2万円が高いか安いかだが、パーティーに出席する代金として、高いと感じるのが普通の感覚であると思われる。実際に、出席してみると、参加人数に比して提供される食事の量が少ないケースがほとんど。たとえば、すしおけがあることに気が付き、乾杯の後すぐに並んですしを取れなければ、あり付けないことも──歓談してからなどと、のんびり構えていては食事はほとんどできないと思った方がいい。

 筆者が地方議員時代に国会議員のパーティーに出席した時の実話を記して結びとしよう。支援者何人かに声をかけてパーティー券を買ってもらったはいいが、購入者全員が都合つかず欠席となった時の話──主催した国会議員に「すみません、皆、用事があって欠席となり、私だけの参加になりました」と頭を下げたら「いいの、いいの、気にしないで。この手のパーティー、食事が極端に少ないので欠席は歓迎。一番ありがたいのは、パーティー券を買って出席しないことだから」──このひと言が政治家のパーティーの特徴となろうか。パーティーだけを目的にした場合、会費2万円は間違いなく高いのである。 

(文・水野文也)