プロ野球で26年ぶりの日本一に輝いた横浜DeNAベイスターズの若手選手寮「青星寮」(神奈川県横須賀市)に粋なサンタクロースが現れた。「野球に夢中になれる環境を」との現場からの提案を受け、球団がユニホームスポンサーを務める総合家電メーカー、ハイセンスジャパンのテレビ21台を採用し、個室に設置した。ベイスターズ一筋40年の寮監、加古潤二さんは「モニター機能でフォームのチェックをするとか野球を追求してくれればうれしいけど、一番は部屋でのリラックスだよ」と話した。
東京湾の潮の香りが届く横須賀市追浜公園にあるベイスターズの総合練習拠点「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA(ドック オブ ベイスターズ ヨコスカ)」の一角にある青星寮は、野球チームの寮というよりおしゃれなリゾート施設といった趣だ。時代による変化は外観だけではない。加古さんは「寮の在り方も曲がり角」と話す。かつては、高卒選手なら最低4年、大卒なら2年は寮で“修業”するといった「暗黙の了解」があったというが、現在は各自の判断で早く寮を出る選手も多い。「ならば普通のホテルにあるような最低のものはそろえようと。各自で調度品を持ち込む面倒もなく、純粋に野球に集中してもらおうという考え方」と説明した。
12月20日、ハイセンスジャパンのスタッフ3人が訪れ、ものの3時間ほどで設置作業を完了させた。家倉宏太郎マーケティング部長は「20種類以上のVOD(ビデオオンデマンド)サービスが搭載されており、ダウンロードなどをしなくても、ボタン一つでYouTubeや映画、ドラマを楽しむことができる」とアピールした。今回はチーム側の費用負担による採用だが、昨オフはハイセンスジャパンが寮内のリラックスルームに75型の大画面テレビを寄贈。加古さんは「昔はこういうスペースは麻雀部屋になったものだけど、もうそんな時代じゃない。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)なんかは、みんなで集まって見ていたよ」と話した。
寮の隣にある管理棟のスタッフルームでもハイセンスジャパンのテレビが活躍している。ここでは、インターネット会議システムで、横浜スタジアムや遠征先などとつないでデータや画像を共有、スタッフの戦略会議が行われている。元選手の球団職員、小山田保裕さんは「最新のテクノロジーや大画面テレビを最大限活用し、来季はリーグ優勝からの日本シリーズ連覇につなげたい」と意気込んだ。
2024年シーズンは、ベイスターズとハイセンスジャパンのコラボが花開いた。球団は、横浜スタジアムのコンコースなどに180台のテレビモニターを設置し、球場に足を運んでくれたファンを盛り上げた。一方のハイセンスジャパンは、球場と寮に大型洗濯機や冷蔵庫を寄贈するなど裏方としてチームを支えた。そのかいあって、1軍の日本一だけでなく、2軍もファーム日本選手権で初優勝。ディフェンディングチャンピオンとして迎える25年シーズンも、「ベイスターズ×ハイセンスジャパン」の相乗効果で快進撃となるか。