“墓じまい”が話題になる昨今。多人数でのセレモニーができなかったコロナ禍もきっかけとなったのか、葬儀自体も縮小傾向。火葬の後の海洋散骨も増えている。「海洋記念葬®シーセレモニー」(SPICE SERVE・東京)では、散骨の需要が5年で8.3倍に増加、年間件数は1231件になっているという。
同社では2019年に海洋散骨サービスを開始して以来、実施件数は増加の一途。家族葬や直葬など近年の葬儀では参列者を縮小する傾向がある中、貸切船での乗船散骨は遺族や参加者による「故人をしのぶ場」となっている。また、船上で非日常的な時間を過ごすことにより、ただ遺骨をまくという行為ではなく、「その日が心に刻まれる印象的な記念日になった」という声も寄せられているという。
散骨の理由も、2019年当初は「お墓がないから」「お墓を購入するより費用がかからないから」という経済的理由や「納骨・葬儀の代替」として選ばれることが多かったが、最近では「故人の希望だから」「この海に還してほしい」など積極的な理由で海洋散骨が選ばれるようになってきているのだそうだ。
なお、墓じまいによる代理散骨の需要も増えており、2023年7月~2024年6月の集計では、海洋散骨の内訳は乗船散骨73%、代理散骨21%だった。