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答えのない子育てで本当に大事なこととは? 子育ての新しい教養を身に付けるためのバイブル

 子育てにマニュアルも正解もない。育てている親が持つ内面も環境もそれぞれ異なるし、そもそも子育てをしながら親の方が育てられていると思うことも多いから、育てながら学ぶ、というのが実感だ。それでも、客観的な指針がほしいと思うことは少なくない。このほど発売された『子どもの生きる力をのばす5つの体験 答えのない子育てで本当に大事なこと』(汐見稔幸著、辰巳出版、税込み1540円)は、子どもの「体験格差」や「貧困」に着目した育児本だ。

 本は4部構成で、第1部は子どもの「教育格差」と「体験格差」について。第2部は次の生きる力をのばす5つの体験について。第3部はそれらの体験を支えるために大人が覚えておくべきこと、つまり、大人は子どもをどう育てるのかについて。第4部では、体験機会のつくり方について。

 ここでいう体験は、外を歩いて季節を感じたり、一緒に食事を作って素材の旬を知ったりと、ふだんの生活の中で体と頭と心を使って行うこと。旅行や習いごとなどの「体験活動」を増やすのではなく、あらゆる活動を通して五感を刺激し、面白がったり試行錯誤したり、その中で言葉を獲得したり、感情の動きを知ったりする体験がとても大切だと説く。同時に社会や文化、人間の在り方を問う内容で、子育て中の親や保育・教育従事者はもちろん、子どもたちが生きていく社会をつくるすべての大人に向けた一冊。