おでかけ

【結果発表!第一回「#旅心フォトコンテスト by TABIZINE」】大賞ほか計11点が入賞いたしました

TABIZINE(タビジン)では、写真家の花井亨さんをゲスト審査員に迎え、今年第一回目となる「#旅心フォトコンテスト」を開催。たくさんのご応募ありがとうございます! 審査はテーマを意識して1次で花井先生及びTABIZINE編集部員6名が各自作品10点を推薦し計37点に絞りました。最終2次で推薦数を考慮しながら、審査委員長花井先生に大賞(金賞)・銀賞・銅賞・特選・入選計11点を決定していただきました。受賞作品をご紹介します!

審査委員長・花井亨先生 総評

花井さんと編集部の審査風景

私が思う「いい写真とは」

職業柄、「いい写真とは」『いい写真を撮るためには?』という問いを受けることがよくあります。

デジカメ、スマホの普及とともに写真撮影は日常の作業であり、老若男女問わず写真撮影の経験のない人は皆無の時代になりました。私が写真を始めた頃の(フイルム写真の時代)昔と違って、もはやシャッター切って写真が写っていないことはほぼありません。かつては写真への褒め言葉であった『よく写っていますね』という言葉を聞く事は無くなりました。

おかげで、写真撮影という行為に興味を持つ人が増え、そして多くの人が「いい写真を撮りたい!」と思うようになりました。これは写真撮影を生業にしている私にとって、本当に嬉しいことです。1996年に写真の大学を出て、これまでメシを食ってきたので、「いい写真とは?」「いい写真を撮るためには?」というような事ばかりを考えてきた人生だったからです。

さて、改めて「写真を撮る」とはいったいどういう事なのか? 考えてみましょう。
写真を撮るためには被写体(写真に写るもの)を用意するか、わざわざ被写体がある場所まで行かなければなりません。そして物理的にカメラで撮影者によってシャッターをきります。すなわち撮影者はシャッターをきった(押した)者だという事です。

シャッターをきるという事は、フレーミングによって空間を切り取り、シャッター(シャッタースピード)によって時間を切り取る行為であり、そこに撮影者の意図や表現を盛り込むという表現媒体だというのが、私の考えです。

なので、同じ被写体に対して複数の撮影者が対峙しても、全く同じ写真にはならず、撮影者によって全く違って見えるのです。

では私が思う「いい写真」を構成する要素を少しご説明しましょう。
「いい写真とは?」『いい写真を撮るためには?』という問いを受けたときに必ず説明するのは

『いい写真には「xxxだからシャッターをきった」という要素が3つ以上欲しい』 この要素はあればあるほどその瞬間の希少価値が上がり、ドラマの深みを生み出すのです。

例えば

ー絶景と言われる景色のいい場所で

ー真っ赤な夕焼けにドラマチックな雲が浮かび上がり

ー大好きなあの人がシルエットで浮かび上がる

→→
これはどう想像しても、撮影者にとっても、見る人にとってもいい写真である事は容易に想像出来ます。そしてこの要素が多くなればなるほど、その写真の希少価値が上がり、感動を誘発されるのです。

撮影の際にピントをどこに置くか? シルエット演出のための露出の選択、ホワイトバランス(色温度)はどうするのか? などの基本的な撮影操作の技術もありますが、カメラが進化した現在ではさほど大きな問題では無くなってきました。それよりもいかに多くの要素を一枚の写真に入れ込むか? こちら方がはるかに大きなテーマです。

しかし考えてみてください。大好きなあの人を絶景と言われる景色のいい場所に連れて行くことは可能ですが、その時に「真っ赤な夕焼けにドラマチックな雲が浮かび上がる」保証はどこにもありません。盛り込む要素が増えれば増えるほど偶然の要素が必要となるため、希少価値が上がり、感動の引き金になるのです。明らかに偶然の要素(天気や動物、幼児の動きなどもなかなかコントロール出来ません)をいかに自分の写真の要素に入れ込むか? そのようなことを是非今後の撮影の際に考えみてください。そして何らかの方法を見出したときに、あなたの写真に“作風”が生まれるかもしれません。

審査委員長 花井亨

写真家

元ロイター通信の写真家。その経験を基盤に、独立後は企業広報、国際機関の活動記録、ニュース報道から、世界各地の旅で出会う文化や市井の人々のポートレートまで、多岐にわたる分野で撮影・制作活動を行う。ドキュメンタリーで培われた確かな視点で「場面」の空気感を的確に捉え、被写体の本質や物語性を引き出す表現力に定評がある。作品は『ナショナルジオグラフィック・トラベラー』の表紙を2度飾るなど、国際的にも高く評価されている。

公式サイトを見る

【大賞(金賞)】katikuarakumaさん「真冬の富士に降り注ぐ」

<img src="https://tabizine.jp/wp-content/uploads/2025/09/662804-01.jpg" alt="©︎katikuarakuma タイトル:真冬の富士に降り注ぐ
撮影日:2024/12/15 撮影場所:山梨県 山中湖 #旅心フォトコンテスト” class=”alignleft size-full wp-image-662806″ />

【大賞(金賞)】©︎katikuarakuma「真冬の富士に降り注ぐ」
副賞:リゾナーレ下関(星野リゾート) 1泊2日宿泊券1組2名(2025年12月11日に開業予定)

花井先生講評
数ある応募作品の中で、私がこの一枚を金賞に選んだ理由は、本コンテストのテーマである「旅心」を最も深く、そして静かに表現していたからです。これは単なる美しい風景写真ではありません。旅先で出会う、言葉を失うほどの瞬間の感動と、その大自然の中で自らの存在を再確認する感覚、その全てが一枚に凝縮されています。

技術的に見ても、この静寂は極めて計算された設定の上に成り立っています。星の光跡を捉えるために選択されたであろう数十秒に及ぶ長時間露光は、地球の自転、つまり「時間の流れ」そのものを写し込んでいます。構図もまた、この写真の物語を支えています。本来は裾野の広がる富士山と湖への反射は「横位置」構図であるべきなのですが、縦位置にすることで一気に宇宙の世界に引き込まれます。それを誘発する、座っている人の目線。何より撮影者は最もコントロール不可能な「流星の軌道」までも完璧に自分の作品に落とし込んでしまっている事に、脱帽しました。この要素を入れ込むためにどれだけの試行錯誤と時間を費やしのだろうという邪推をしてしまいますが、その苦労の泥臭さを全く感じさせない、透明感と爽やかさに見る側の気持ちが包まれます。
撮影者の最高の瞬間を捉えるための忍耐と、それを作品へと昇華させるための技術と感性。旅の奇跡的な体験を一枚の写真として定着させた、見事な作品です。

受賞者コメント katikuarakumaさん

この度は大賞にご選出いただきありがとうございます。光栄に存じます。

この写真は山梨県の山中湖にて、ふたご座流星群の極大日とその前後の計3日間撮影を行った際の一枚です。雲や風の有無、月が映り込まない時間帯の選定、流れ星や人の位置など多くのことに気を遣いました。

この日はとても寒かったため、長時間の撮影で辛い気持ちも多少ありましたが、それ以上に雲もなく綺麗に見える富士山や、時折見える流れ星、誰もいない静けさの中でこの神秘的な風景を独り占めできる幸せなどを噛み締めて夜を明かしたのを覚えています。

旅の形は人それぞれですが、少しでもこの写真を見てくださった方が私の「旅心」を感じ、ワクワクしてくれたら嬉しいです。

【銀賞】hoppy101010さん「窓越しからの穏やかな風景」

【銀賞】©︎hoppy101010「窓越しからの穏やかな風景」
副賞:箱根・芦ノ湖 はなをり 1泊2日宿泊券1組2名

花井先生講評
旅の魅力が非日常の絶景だけにあるのではないことを、この作品は静かに教えてくれます。見知らぬ宿の一室で、ただ静かに流れる時間にも一生ココロに残る感動がある。そんな内省的な「旅心」を、見事な光のコントロールと構図によって描き出しました。私がこの作品を高く評価したのは、その抑制の効いた表現力と、写真を見る者に自身の記憶を投影させる力です。

技術的に最も秀逸なのは、窓外の緑の鮮やかさと、室内のしっとりとした空気感の両方が表現されているところです。これはカメラの性能もさることながら、光を正確に読み、露出を完璧に決定した撮影者の眼によるものでしょう。

構図の巧みさは、見る者を写真の世界に深く引き込みます。窓枠を「額縁」として利用することで、窓外の何気ない風景が特別な一枚の絵画のように切り取られています。さらに、手前のテーブルへの映り込みが、現実と非現実の境界を曖昧にし、作品に詩的な奥行きを与えている。主役である人物にピントを合わせながらも、絞りを少し開くことで生まれる柔らかなボケ味が、この場の穏やかな空気感を醸成しています。多くを語らず、しかし豊かに語りかける。写真の持つ静かな力を信じているからこそ撮れた、洗練された一枚です。

受賞者コメント hoppy101010さん
この度は銀賞を頂き心より嬉しく思います。そして何より、審査委員長である花井さんからの講評が、日々写真に対して喜びや楽しさ、そして上手く出来なくて悩んだりしている自分に深く響きました。
詩の様な講評が、優しく静かに浸透し、この賞を頂けた事が本当によかったと心から思いました。
より写真に対して真摯に向き合っていきたいです。
この度は本当にありがとうございました!

【銅賞】yumakawamuraさん「道しるべ」

【銅賞】©︎yumakawamura「道しるべ」
副賞:カンデオホテルズ京都烏丸六角 1泊2日宿泊券1組2名

花井先生講評
この作品からは、旅先で出会う自然の圧倒的なエネルギーと、それに対する畏敬の念がほとばしるように伝わってきます。鑑賞者の「旅心」を激しく揺さぶり、今すぐこの場に立ちたいと思わせる力強さ。その迫力は、撮影者が風景写真の定石を深く理解し、最高の瞬間を粘り強く待ち続けたからこそ生まれました。

まず、構図の完成度が見る者を引き込みます。荒々しい岩肌と水たまりを前景に大きく配置することで、画面に力強さと三次元的な奥行きを与えています。この水たまりが、燃える空を映す「第二の空」として機能し、作品のドラマ性を一層高めている点は見事と言うほかありません。視線は自然と前景から中景の富士山、そして背景の空へと導かれ、広角レンズがそのスケール感をさらに強調します。

そして何よりも、一日に数分しか訪れないマジックアワーの光を完璧に捉えている。空の鮮やかな色彩から岩肌のシャドウ部分まで、白飛びや黒潰れを起こさずに一枚の写真に収めるには、慎重な露出決定が不可欠です。自然の壮大なドラマと、それを写真として定着させるための確かな技術。その両方が結実した、感動的な作品です。

受賞者コメント yumakawamuraさん

この度は、このような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。審査委員長の花井様、講評をありがとうございました。改めて写真の持つ力と奥深さを再認識いたしました。これからも、旅先で出会う一瞬一瞬を大切にしながら、見てくださる方の心を動かせるような作品を撮れるように努力していきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

【特選】yamasan01tさん「里山の夜明け」

<img src="https://tabizine.jp/wp-content/uploads/2025/09/662804-12.webp" alt="©︎yamasan01tさん「里山の夜明け」Iocation:京都
Date:2025/7/21″ class=”alignleft size-full wp-image-662847″ />

【特選】©︎yamasan01t「里山の夜明け」
副賞:スーパーホテル オリジナル「超・ぐっすりパジャマ」

花井先生講評
さまざまな場所で、心震える光景に出会うことこそ、旅の醍醐味です。この作品は、そんな「発見の喜び」に満ちており、見る者の心に穏やかな希望を灯します。里山の夜明けという静かな情景の中に、新しい一日の始まりを告げる美しい光を見事に描き出しました。
この写真の主役は、北山友禅菊をドラマチックに演出する、雲間から差し込む光芒、いわゆる「天使の梯子」です。この儚くも美しい光を捉える技術が見事です。その技術が、写真全体に静謐で引き締まった印象を与えています。
人気のフォトスポットなのでしょうか?完成された構図の中にも、撮影者がその日その時だけの一期一会の要素を多分に入れ込む事によって、作品の魅力を大きく高めています。
また静かであり鮮やかな色彩が、まだ薄暗い夜明けの風景に生命感を与え、鑑賞者の視線を優しく画面の奥から手前へと導きます。前景、中景(集落)、背景(山と空)という三層構造を意識することで、写真に美しい奥行きが生まれています。誰もが心の中に持つ日本の原風景を、希望の光と共に描き出したこの一枚は、「旅心」を優しく刺激する力を持っています。

【特選】Tsuneさん「お前もついてくるにゃ?」

【特選】©︎Tsune「お前もついてくるにゃ?」
副賞:Peak Design(ピークデザイン)カメラバッグ「エブリデイ バックパック 20L コヨーテ / BEDB-20-CY-3」

編集部講評
旅先で猫と目が合うと、そこから物語が始まりそうな予感がします。そんな、誰しもが旅先で体験したことがあるようなワクワクの瞬間を思い出す一枚です。
語りかけるような猫の視線を見事に捉え、背後の人々の表情からドラマを感じます。「周りの人たちがRPGのパーティーに見えてきます」と言った編集部員もいました。
猫はたくらみがありそうな鋭い視線ですが、風景や人々にのどかで優しい雰囲気があるため、絶妙なバランスでユーモラスに仕上がっているところは、撮影者さんの人間性が投影されているのでしょうか。Tsuneさんの作品は、他にも複数候補に上がっており、どれも瞬間を捉える確かな技術と、旅心を感じさせるちょっとクスッと笑いを誘うような独自の視点が印象的でした。

【入選】gocci_monoさん「いつまでも変わらない夏のはくちょう」

【入選】©︎gocci_mono「いつまでも変わらない夏のはくちょう」
副賞:thinkTANKphoto(シンクタンクフォト)カメラバッグ「ミラーレス ムーバー バックパック コーストグリーン」

編集部寸評
ハッとさせられるほど、青い青い世界。物語が始まりそうな幽玄な空気のなか、猪苗代の美しい自然の息吹が伝わってきます。

【入選】tmc_mfさん「奥貴船 兵衛」

【入選】©︎tmc_mf「奥貴船 兵衛」
副賞:亀の井ホテル青梅 ドッグフレンドリールーム 1泊2日宿泊券1組2名

編集部寸評
見た瞬間に冷たい水の気持ちよさを疑似体験できるような臨場感。日本独特の夏の情緒が心に蘇って、この風景に飛び込みたくなります。

【入選】batakotoshiroさん「鳥居をくぐった先に見える景色」

【入選】©︎batakotoshiro「鳥居をくぐった先に見える景色」
副賞:ノットアバッグ「ノットアバッグ アソートセット」

編集部寸評
この子はきっと、何十年か後にもこのときの風景と気持ちを思い出しそう……そんな未来のシーンまで思い起こさせるような一枚です。

【入選】puchimidoriさん「空へと続く道」

【入選】©︎puchimidori「空へと続く道」
副賞:MOFT Japan 8-in-1多機能スタンド

編集部寸評
自分の中の郷愁が刺激されるような、感動的なBGMが流れてきそうな風景。大室山の新たな魅力を伝えてくれます。

【入選】mayu222miさん「おわりかはじまりか」

【入選】©︎mayu222mi「おわりかはじまりか」
副賞:アンカー・ジャパン Anker Zolo Power Bank (10000mAh, 30W, Built-In USB-Cケーブル)

編集部寸評
「虹だ!」という声が聞こえてきそうな、旅の高揚感を表しているような写真。虹の根元というレアな場面に心躍ります。

【入選】gurogurocoさん「たまごから、こんにちは」

【入選】©︎guroguroco「たまごから、こんにちは」
副賞:MOFT Japan MOVAS™耐久強化版 Snap-Onスマホスタンド

編集部寸評
ここどこ? と思わせる、ニワトリから女の子が生まれたような構図が可愛い。遊び心が感じられます。

人生に旅心を by TABIZINE

旅先で見つける、自分だけの世界の見え方。
 
シャッターを切る瞬間の、鋭い発見の喜びを疑似体験できるような作品の数々に、旅写真の面白さを再認識いたしました。改めて、ご応募いただいたすべての撮影者さんたちに、感謝申し上げます。
 
全身を研ぎ澄ませて、“いまここ”に集中する。旅先ではしばしば、そんな覚醒モードが発動します。それがより多くのシャッターチャンスにつながり、旅心ある写真を生み出すのではないでしょうか。そして日常でも覚醒モードを発動させて、いつもの風景のなかに“非日常”を発見する、旅心ある毎日を送れたら……。
 
旅を通じて人々の心が自由になるような提案をしていきたい。それがTABIZINEの願いです。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
 
2025年9月19日 TABIZINE統括編集長 山口彩


TABIZINE
TABIZINE(タビジン)は旅と自由をテーマにしたライフスタイル系メディアです。
旅の情報や世界中の小ネタを通して、旅に行きたくてたまらなくなる情報や、
日常に旅心をもてるようなライフスタイルを提案します。