目から入ってくる情報と耳からの情報が違い過ぎる! ポップロック・ソロプロジェクト「スピラ・スピカ」のボーカル・幹葉(みきは)さんは、トークとなると、かわいらしい見た目からは想像を絶する気さくさで、まるで「あめちゃんあげるわ」と渡してくれる関西のお姉さまのようです。徳島県出身ですから阿波弁で、語尾は「○○かね」「○○けん」「○○じゃ〜」。ああ方言に癒される…と思いきや、息継ぎはいつしているのでしょうか? と探りたくなるほど早口で、癒しと焦りが同時に湧く情報量過多トークを繰り広げます(笑)。私がラジオ番組で多数のゲストをお迎えした中でも、最も愉快な混乱をくださるアーティストです。
幹葉さんは、ご自身でもラジオのパーソナリティーをしてきていますし、時折、トークだけのライブを開催することもあります。ミュージックビデオも「幹葉おしゃべりバージョン」をウェブ限定で公開していて、それはもはや、音楽が頭に入ってこないほど、怒濤(どとう)のトークです。
最近は、アーティストのパフォーマンス一発撮りYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に出演して話題になりました。歌唱の完璧ぶりは、世界レベルだと感じます。ライブに足を運ぶと、幹葉さんは大きな身振り手振りで、ジャンプをして、会場の隅から隅まで走っている。その上、笑顔でとても大きく口を開けながら歌うので、必要な肺活量は増えるというのに、声量は安定、テンポと音程が一瞬もブレない。私は声楽科卒ですが、彼女の技術に頭が上がりません…と感心していると、MCでのマシンガントークで笑わされる。
これを何ターン繰り返しても、最後まで歌唱もトークも最高水準。その超絶技巧ぶりを例えるなら、ランニングマシンで走りながら、右手はお箸で乾いた大豆をつまんでペットボトルの飲み口に入れながら、左手は3個のお手玉をし、2時間一回もミスがないくらいのすさまじさです(笑)。計算され尽くした表現なはずなのに、常に笑顔で、聴き手には軽やかに伝わってくる。幹葉さんのプロフェッショナルな姿を見るたび、「私は限界まで頑張れていただろうか?」と刺激を受けます。
「スピラ・スピカ」という名には〝どんなに暗い道にいても、星のように希望の光で導く〟という想(おも)いが込められていて、背中を押してくれる楽曲ばかりです。この先、つらいことがあっても、幹葉さんの天真らんまんな人柄とトーク、ポジティブな楽曲たちがあれば大丈夫、そう思えます。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 36からの転載】
山崎あみ(やまざき・あみ) 1997年生まれ、東京都出身。音楽大卒。タレント・モデル。1st写真集「Cantabile」(ワニブックス)の他、デジタル写真集も発売中。YouTube番組「うるおうリコメンド」(略称うるりこ。共同通信社制作)出演。