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牛5頭を児童として登録 フランスでクラス閉鎖の危機に抵抗

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 日本では、少子化・過疎化に伴う児童・生徒数の減少で、毎年約450もの公立小中高校が廃校になっている。統廃合などでもちろん子どもたちの教育環境は確保されているものの、通学路や学校が変わるのは子どもたちの負担になり、地域コミュニティーにとっても廃校が過疎に拍車をかけたり、交流の場や避難所の変更の要因になったりと影響は小さくない。フランスでは、子どもの数が少なくクラスが閉鎖される危機を前に、村長が牛5頭を“児童”として登録。「子どもの数はただの数字ではない。これで駄目なら他の方法を考える」と抵抗を試みて話題になっている。

 この学校は、ドイツと国境を接するフランス北東部、グラン・テスト地域圏のオーラン県にある、人口1621人のモーシュという小さなコミューンにある。仏フィガロ紙などによると、この学校には現在小学生66人、幼稚園児30人が在籍しているが、新たな年度が始まる今年9月の段階で、全体で100人を超えていないとクラスが閉鎖される規定。存続には4人足りない。そこでジョゼ・シュルフヌジェ村長は、アボンダンス、アマンディン、アベイユ、アルレット、アムセルという“5人”の名前を児童として登録。これで児童数は101人になった。

 だが、この“5人”は実は酪農家の牛たち。村長は「この子たちは牧草地が好きだから、先生には外で授業をしてもらう必要がある。教室の外に出る授業は今のはやりだからね」とユーモアを交えたコメントをしつつ、「実際われわれはとても腹を立てている」と、子どもの数によるしゃくし定規なクラスの閉鎖を批判する。「地域と学校は共に生きている。村の大人が交流できる数少ない場所が(子どもの送迎をする)学校の前だ。エリート官僚はたくさんいるし、彼らはよく勉強しているが村に足を踏み入れたことがないんだ」。

 3月31日の朝、幼稚園の前には囲いの中で草を食む牛たちがいた。フランス教育省は、「動物は“入学”できないし、教室に場所もない」としているが、シュルフヌジェ村長は「教育委員会との話し合いがうまくいかなければ、新年度までにどんなことをしても閉鎖を避ける別の方法を考えるまでだ」と強気だ。

(text by coco.g)