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日本の伝統技術「金継ぎ」に全国規模の資格 金継ぎ検定、この秋にスタート

 日本には、割れたり欠けたりヒビが入った器を漆で修理し、その修復跡を金や銀で装飾する「金継ぎ」という室町時代から伝わる伝統技術がある。この金継ぎが時代を超えて再ブームとなり、金継ぎを海外に発信する取り組みが行われたり、「趣味を超えて金継ぎを職業にしたい」「金継ぎ師になりたい」という人も増えているという。

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 そのような中、金継ぎを習得したい人の背中を後押し、金継ぎの魅力をさらに広めるために、9月1日に「一般社団法人金継ぎ検定協会」が誕生。コロナ禍に大手製薬会社を脱サラして金継ぎ師となり、金継ぎ専門の事業を展開してきた「つぐつぐ」(東京)の代表・俣野由季氏が設立した。主な事業として、全国版の金継ぎ検定を運営していく。10~11月の検定開始に向け、準備を進めている。

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 検定は、基礎知識を問う「入門」と、「初級」「中級」「上級」「最上級」の技能審査の5段階で構成。合成接着剤やエポキシなどの化学物質を使わず、本物の漆を使った伝統技法であれば、やり方は問わず仕上がりを判定する。「金継ぎ師として誰かの大切な器を修復した時、ご満足いただける仕上がりか」をA~D判定に分けて評価。上級と最上級は全ての課題でAを取得する必要がある。費用・課題・受検方法などの詳細は、金継ぎ検定協会ウェブサイトに掲載している。

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 金継ぎ検定協会公認の金継ぎ検定の資格がないと、金継ぎ師として活動したり教室を開くことができないわけではないが、資格を取るために目標を持って勉強・練習することでモチベーションを高めたり、自分の能力を客観的に測ることで自信にもつなげてもらう。ひいては金継ぎを職業にするきっかけにもしてもらう。

 金継ぎ検定の運営は、金継ぎ修理経験と実績が豊富なつぐつぐに委託し、協会の顧問には漆芸歴30年の柴田克哉氏を迎える。今後、さまざまな金継ぎ職人・漆芸関係者に協力を要請し、パートナーを増やし、中立な立場で金継ぎの質を担保し普及するための活動を行っていくという。