SDGs

富士山麓で記念植樹し国際交流を  山梨県が「世界の森やまなし」開設

富士山を望む「世界の森やまなし」でフジザクラの苗木を植える長崎幸太郎山梨県知事(右)ら
富士山を望む「世界の森やまなし」でフジザクラの苗木を植える長崎幸太郎山梨県知事(右)ら

 

 植樹を通じ世界各国との友好を促進し、持続可能な開発計画(SDGs)の実現も目指そうと、山梨県が富士山麓の同県鳴沢村に記念植樹ができるエリア「国際交流『世界の森やまなし』」を開設した。標高約1200メートルの県有林約1ヘクタールを整備。「県内や近県で国際的な会議、イベントなどが開かれる際に記念植樹をして、友好の証しにしてもらえれば」(末木洋一同県県有林課長)としている。リゾート地と首都機能を融合させた先進地域をつくる「自然首都圏構想」の一環でもある。 

  晴天に恵まれた1019日、エリアに隣接し富士山が間近に望める全国育樹祭記念広場で、40カ国の駐日大使や県内への留学生ら約250人が参加してキックオフイベントが開かれ、植樹やランチレセプションで交流の輪を広げた。 

オカリナで「ふじの山」を演奏する大沢聡さん
オカリナで「ふじの山」を演奏する大沢聡さん

 

 午前11時に始まったキックオフイベントでは、まずオカリナ奏者の大沢聡さんが「あたまを雲の上に出し‥」の歌詞で有名な童謡「ふじの山」を演奏。続いて長崎幸太郎知事が「山梨県は素晴らしい自然環境に恵まれており、持続可能な形で利用し未来に引き継いでいくことは、私たちの責務だ。地球が直面する課題の解決には、さまざまな文化的背景を持つ人々が理解を深めていくことが重要。世界文化遺産に登録されて10年を迎えた富士山を望む地に、植樹を通じた国際交流の場を創設することにした」とあいさつした。

額縁のような木枠の中であいさつする長崎幸太郎山梨県知事。後方の一段高くなった部分が植樹エリア「世界の森やまなし」
額縁のような木枠の中であいさつする長崎幸太郎山梨県知事。後方の一段高くなった部分が植樹エリア「世界の森やまなし」

 

 各国大使を代表して、ファム・クアン・ヒエウ駐日ベトナム大使は「国際協力の重要性や、貴重な財産である森林の保護の重要性が改めて強調され、大変感動した。日本はOECD(経済協力開発機構)の諸国の中では、フィンランドに次ぐ森林大国。森林と健康は世界の繁栄に直結する課題であり、森林と生態系を保護し一緒に守っていこう」と呼びかけた。

森林保護で連携を呼びかけるファム・クアン・ヒエウ駐日ベトナム大使
森林保護で連携を呼びかけるファム・クアン・ヒエウ駐日ベトナム大使

 

 また、英語教育に力を入れている山梨英和中(甲府市)の1年生50人が「私たちは森に感心を持ち、知識を深めます」「異文化を知り、交流し、協力して、私たちの地球環境を守ります」などとする「未来づくり宣言」を、日本語と英語で読み上げた。

「未来づくり宣言」を読み上げる山梨英和中の生徒ら
「未来づくり宣言」を読み上げる山梨英和中の生徒ら

 

 その後、参加者は広場より一段高くなった植樹エリアに移動。元は苗木を植えて40~50年経過したアカマツの人工林で、収穫時期を迎えた今春、伐採し植樹場所にしたという。参加者は協力して、山梨県の花であるフジザクラや、自生する桜の代表格のヤマザクラ、秋の紅葉が美しいイロハカエデ、秋にドングリの実がなるミズナラの苗木計145本を植えた。

ベネズエラ大使館関係者(右)とともに植樹する山梨英和中の生徒
ベネズエラ大使館関係者(右)とともに植樹する山梨英和中の生徒