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うそとまことの境界を描いた心理ミステリー『アンダーカレント』/モキュメント風のミュージカル劇『シアター・キャンプ』【週末映画コラム】

『シアター・キャンプ』(10月6日公開)

 

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 人気演劇スクールで、今夏の開校目前に校長が倒れて昏睡(こんすい)状態に。演劇に興味のない息子が引き継ぐが、実はスクールは経営破綻寸前。存続のための新作ミュージカル発表に残された時間は3週間。変人ぞろいの教師と子どもたちは劇を完成できるのか? 

 サンダンス映画祭で、USドラマチック審査員特別アンサンブルキャスト賞を受賞した本作の監督はニック・リーバーマン&モリー・ゴードン。脚本は2人に加えて、ノア・ガルビンと『ディア・エヴァン・ハンセン』(21)のベン・プラット。ゴードンのほかは皆出演もしている。中でもガルビンが全てをさらうようなもうけ役を得ている。

 というような、アメリカのショウビズ界の若き才能の持ち主と達者な子役たちによるモキュメント風のミュージカル劇。全編に舞台への愛憎があふれ、いい意味で、『フェーム』(80)や『コーラスライン』(85)の小型版、あるいはB級版のような味わいがある。

 キャンプは人種、性別、容姿などお構いなしのカオス状態というのがいかにも現代風だが、そこがまた面白い。加えて、粗くざらついた画面が、かえってドキュメンタリーっぽく見せる効果を発揮している。

(田中雄二)