エンタメ

小日向文世が語る、俳優業への思い 「あの役は小日向と言われるまでには、僕にはまだまだ時間が必要」 【インタビュー】

-なるほど。では、1977年にオンシアター自由劇場に入団してから45年になりますが、この45年間の俳優人生を振り返って、今、どんな思いですか。

 1996年に劇団が解散するまでの19年間は、朝から晩まで舞台中心の生活でした。その後、映像の世界にも活動を広げていったので、今は劇団時代よりも長い時間を過ごしているのですが、まだまだ自分の中で満足できていないところがあって、だからこそ俳優を続けているんだと思います。

-満足できないとは?

 いろいろな作品に参加させていただいて、とてもありがたいのですが、自分の代表作といわれるものに出会いたいという欲求が…。渥美清さんといったら「寅さん」のような…。あの役は小日向と言われるまでには、僕にはまだまだ時間が必要なのかなと勝手に思っているところがあって、なので飽きずに続けているんだと思います。

-俳優人生の中でのターニングポイントは?

 木村拓哉さんとご一緒したドラマ「HERO」(01/フジテレビ系)です。今では考えられないような視聴率を記録したので、渋谷を歩いたら女子高生に指をさされるようになったのはそこからでした。ただ、42歳までいた劇団時代もとても充実した時間でしたし、僕にとって役者の土台はその時にできたものだと思います。劇団時代のターニングポイントは、27、8歳の頃に出会った「クスコ」という作品です。その作品に出会って芝居の醍醐味(だいごみ)を知ることができました。

-今後、俳優としての目標は?

 健康第一で、息の長い俳優でいたいです。今年が60代最後の年ですから、来年から古希で「こきなた」ですから(笑)。頂ける仕事はありがたく受けていきたいですし、楽しくやっていきたいと思います。

(取材・文/嶋田真己)

COCOON PRODUCTION 2023 / DISCOVER WORLD THEATRE vol.13「アンナ・カレーニナ」

 舞台「アンナ・カレーニナ」は、2月24日~3月19日に都内・Bunkamuraシアターコクーン、3月25日~27日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。公式サイト