エンタメ

藤原大祐「お芝居の概念を覆されるような経験でした」進境著しい若手俳優が、初のホラー映画で新たなチャレンジ『リゾートバイト』【インタビュー】

藤原大祐(C)エンタメOVO

-話は変わりますが、藤原さんは映画好きだそうですが、映画の現場の魅力をどう感じていますか。

 映画の現場は、基本的に映画好きな方が集まっているので、みんなで一丸となってもの作りをしている感覚がすごくあります。いろんな映画の話や「ここは、あの映画のあのシーン風じゃない?」みたいな話で盛り上がれるのも楽しいです。

-『レザボア・ドッグス』(91/クエンティン・タランティーノ監督のデビュー作となったクライムアクション)や『スタンド・バイ・ミー』(86/冒険旅行に出かけた少年たちの友情物語)といった昔の映画がお好きだそうですね。

 そうですね。僕が生まれる前の映画ですが、「映画のストーリーは出尽くしている」という話をよく聞くので、これから映画に携わっていく上で、その原点を見ておきたいと思ったんです。そうやって昔の名作を掘り返していったら、今の映画と全然違うところが好きになって。ストーリーも今の映画よりシンプルな分、ストレートに面白さが伝わってきますし。僕は元々、洋服もビンテージものが好きで、現在のモノの原点に興味があるんです。古いものを追いかけていくことが新しい、みたいな感じで。なので、昔のアメリカ映画を見るることの方が多いかもしれません。

-好きな俳優はリバー・フェニックス(70~93/『スタンド・バイ・ミー』、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』89などに出演)だとか。

 『スタンド・バイ・ミー』のリバー・フェニックスさんのカッコよさに引かれ、いろんな作品を見ていくうちに、どんどん好きになっていきました。しかも、リバー・フェニックスさんは若いうちに亡くなったので、僕の中では伝説的な存在になっているんです。現役の方で言えば、レオナルド・ディカプリオさんも大好きです。僕の好きな俳優は、「飾り気がなく、美しい汚れ方をしている」という雰囲気を持った方。ただし、「汚れている」というのは、外見的なことでなく、「世の中に対する不満や葛藤を抱えて、心の中が黒く塗られている」みたいな意味です。

-ご自身もそういう俳優になりたいと?

 そうなれるように、人間力を上げていきたいです。そういうものは、いろんな経験を積み重ねた中からにじみ出てくるものだと思うので。そのため、普段から自分の前に二つの道があったら、必ず厳しい方を選ぶようにしています。そうやっていくうちに、汚れた役もできるようになれたら…と。将来は「この役はこいつにしかできない」と言われる俳優になって、『レオン』(94/ニューヨークを舞台に、凄腕の殺し屋レオンと少女マチルダの戦いを描くアクション映画)や『レザボア・ドッグス』のような作品にも出てみたいです。

-そういう意味では、この映画も俳優として大きな一歩になったようですね。

 そうですね。ホラー映画はこれまでとお芝居のアプローチが異なる分、僕にとってはお芝居の概念を覆されるような経験で、学ぶことが多く、新たな課題も見つかりました。僕自身はいつまでも自分の芝居に満足することなく、常にチャレンジを続けていきたいと思っているので、今後も俳優をやっていく上では貴重な経験になりました。

-最後に、この映画をご覧になるお客さんへのメッセージを。

 予告編ではいかにもホラー映画らしい怖さが漂っていますが、実はこれまでのホラーとは一味違った内容で、テンポも早く、90分があっという間の“新感覚ホラー”です。結末を知っている僕でも、完成した映画を見た時、驚きや新鮮さを感じる部分がありました。永江(二朗)監督も「お子様でも楽しめる作品に」とおっしゃっていたので、だまされたと思って、ぜひ幅広いお客さんに、劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

 


 

映画『リゾートバイト』 10月20日公開

出演:伊原六花 藤原大祐 秋田汐梨 松浦祐也 佐伯日菜子 梶原善

配給:イオンエンターテイメント