エンタメ

「考察を楽しんでいただければと思います」 内田英治監督&土屋太鳳『マッチング』【インタビュー】

ー土屋さん、金子ノブアキさんと佐久間大介さんとの共演はいかがでしたか。

 金子ノブアキさんは、役と向き合う姿勢が素晴らしい方だと思います。演じているというよりも、役として生きている方なのかなと。役として本当に怖いんですよ。本当に危機を感じるというか、何をしでかすか分からない狂気を感じます。普段はとても柔らかくて、少年のような気持ちをずっと持たれている方で、お芝居とはギャップがあります。ただ、ドラマーでもある金子さんが「ドラムというのは、力を入れるだけではたたけない。たたく時だけ力を入れてあとは全部力を抜いていく」とおっしゃっていて。役への入り方でも、それを意識されているのかなという感じはありました。

 佐久間さんは、私が18歳の時に、「滝沢歌舞伎」で初めて拝見させていただきました。それから私がMCをしていた音楽番組に出てくださいました。ライブをやられているので、オンオフの切り替えをしっかりなさっている方だなと思います。本番前は、金子さんとふざけ合っていて、これでよく役に入れるなと思いましたが、しっかりと切り替えて演じるのを見て感動しました。今回の吐夢という役は、抑揚がなくて、何で? ということもするとても難しい役。でも、そこにリアリティーを持たせなければならないという部分では、佐久間さんはすごく考えていて、監督にもたくさん質問をしていました。私はそれをじっと見ていました。

ー最後に、これから映画を見る観客に向けて、見どころなどをお願いします。

内田 今はやりの考察。どうなるか分からないというのは、結構見ていて楽しめるんじゃないかなと思います。一応、三転以上はさせようと思って作ったので。考察、要は推理ですよね。そこを楽しんでいただきたいなと思います。

土屋 マッチングアプリを題材にしていますが、人の本質を見るとか、人間関係を丁寧に作っていこうというようなことも伝わったらいいなと思います。その上で、物語に一緒に飲み込まれながら、巻き込まれながら、今、監督もおっしゃいましたけど、私は二転、三転、四転、五転ぐらいあったかなって思います。ぜひ、誰が犯人だとかを考察してください。

内田 役者さんたちはみんな、微妙な、裏の演技をしているんです。見た後で、実はこうだったって思うような微妙な芝居をしているので、それを見つけるのも面白いと思います。

ーでは、何回も見た方がいいですね。1回目だけでは分からないこともある。

内田 そうですね。何回も見てもらって、ヒットしたら、船を借りて『マッチング2』を作ります。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2024「マッチング」製作委員会