ディーン 声優の仕事は、例えば、俳優としてアフレコをやったり、もしくは歌い手として歌を入れるのとはまたちょっと違うアプローチだと思っています。でもやっぱりそういった他の業種での経験も生きてくるような、すごくいい距離感のものだなと。今回は、最初に原語のせりふを聞かせてもらって、なるべくそのキャラクター像を崩さずに、これが日本語での人格だったらどうなるんだろうということを意識しながら、いろいろとトライしました。特にウィフは、SDGsというか、スクラップを新しい物に代えていくというキャラクターなので、やっていることは素晴らしいけど、アプローチの仕方によっては説教くさくなってしまって、伝わるものも伝わらなくなってしまうと思ったので、難しいことはあまり考えさせないような存在になったらいいと思いました。そこはすごく出せたような気がします。
-やす子さん、今回演じたダーシーというキャラクターについて、どういうところに魅力を感じましたか。
ダーシーは仕事が大好きで、力を出し過ぎていろんなものを壊しちゃったりもするんですけど、全力で真っすぐです。そこにすごく引かれました。 自分も仕事が好きで、力が入り過ぎていろんなものを壊したりもするので、共感できる部分が多かったです。あとは、仕事で疲れている人がダーシーを見ると、どうしてこの職業に就いたのかとか、改めて思い出して、初心に戻って仕事を頑張れそうな気がします。今回は歌も歌っているので、ぜひ聴いていただきたいなと思います。
-ディーンさん、ウィフについてはどう思いましたか。
ディーン 最初に、ウィフがどういうタイプの機関車なのかというのを検索したら、「タンク機関車」だと。タンク機関車って小回りが利くんですよ。それに機転も利く。そのままだったらゴミになったようなものに新しい価値を見いだすウィフの存在は素晴らしいと思います。われわれが今必要としている発想の転換みたいなものを象徴しているキャラクターだと思いました。丸い眼鏡がトレードマーク。物知りでかっこいいですよね。
やす子 トーマスの世界に、ゴミになってしまったものから新しいものを作り出すという、SDGsやリサイクルという概念が出てきた驚きと、使えなくなったものも再利用することができるんだということを、子どもたちにも分かりやすく、優しく伝える方法があるんだなって思いました。
-最後に映画の見どころも含めて観客にメッセージを。
やす子 元気いっぱいのダーシーを見ると、自分も頑張ろうって思います。頑張り過ぎることで外の世界が見えなかったりもしますが、そこをトーマスたちが助けてくれるので、やっぱり人との関わり方を大事にしていきたいなと思えます。あとは「大大大冒険」というぐらいですから、大人が見ると、年齢とかに関係なく冒険してもいいんだと思えるような、すてきな映画だと思います。はい~。
ディーン この作品は、世代を超えての共通言語というか、メタファーになるような、世界観をつなげるような物語になっているので、ぜひ年齢を問わず、ご家族で見て楽しんでいただければと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)