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梶裕貴&伊藤美来、声優たちが紡ぐ「明日を生きる糧になる物語」 朗読劇「君の膵臓をたべたい」2025【インタビュー】

 住野よるの大ヒット小説を原作とした朗読劇「君の膵臓をたべたい」2025が4月5日・6日に上演される。本作は、声優たちの「声」に特化した企画として2022年に初演。主人公の「僕」が病院で偶然拾った本をきっかけに、クラスメートの山内桜良と心を通わせていく姿を描く。再演となる今回は、「僕」役を岡本信彦と梶裕貴、山内桜良役を鬼頭明里と伊藤美来が日替わりで務める。梶と伊藤に公演への意気込みを聞いた。

伊藤美来(左)と梶裕貴 (C)エンタメOVO

-出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

 原作小説が発売された10年前に拝読した作品です。その後、アニメ化や映画化もされ、さらに朗読劇になっていることも知っていましたが、まさかこのタイミングで携わらせていただけるとは思っていなかったので驚きましたし、とてもうれしかったです。この作品の中に「僕」という役を通して入り込み、さまざまな感情を追体験する機会をいただけたのは、役者として大きな喜びですね。

伊藤 私も出演が決まる以前からこの作品のことはもちろん知っていましたし、映画も見ていたので、光栄な気持ちでいっぱいでした。そして、一緒に演じる先輩たちの隣で生のお芝居をさせていただけるというぜいたくさにワクワクしました。

-朗読劇ならではの見どころは?

 朗読劇は、声だけでお客さまがそれぞれ想像できる世界だということが第一の魅力だと思います。僕は今年40歳になりますが、今回演じる「僕」は高校生です。自分の年齢の半分以下の年齢のキャラクターを演じる機会をいただけるのは、声優業くらいかなと思いますので、上演中は、「僕」と1つになって高校生のみずみずしさを演出していければと思います。「僕」は感情の起伏が控えめで、他人との接触をある種、意図的に避けてきた人物です。それが桜良と出会い、あることをきっかけに接する機会が増え、彼の中で大きく物事が変化していきます。そうしたさまを自分自身が高校生に戻ったような感覚で演じたいですし、演じられる場所をいただけたことがすごくありがたいです。

藤 脚本を読ませていただくと、細かいところが映画とも小説とも違いますし、朗読劇のためのせりふになっています。この作品では、ほとんどのシーンが「僕」と桜良の掛け合いとモノローグで構成されているので、それもまた聞き応えのある部分の一つなのだと思います。

-アニメや映像の吹き替えとは違う、朗読劇だからこそ演じる上で大切にしていることというのはありますか。

 絵に合わせなくていいので、自由度は朗読劇の方が断然高いですね。ですが、それだけ委ねられているという責任も伴う場所なのかなとも。基本的に朗読劇は、公式での稽古もそれほど多くないので、役者一人一人が自分の中で整理して準備していくことが大事になります。極論、音のみで完結する作品が朗読劇というコンテンツですが、もちろんそれだけでなく、衣装や美術、照明、音響があっての総合芸術でもあるので、今回の朗読劇「君の膵臓をたべたい」も、すべてのアプローチでもって世界観を表現できればいいなと考えています。

伊藤 朗読劇だからこそ、ストーリーのフックになるシーンやせりふは大げさにしすぎず、きちんと伝わるように意識して読むようにしています。観劇後に「あのとき、このせりふ聞いたな」と思い出してもらって、より楽しんでいただけたらうれしいので、一つ一つのせりふに気を付けて演じています。