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大地真央 コシノ三姉妹の母役で映画初主演「コシノアヤコさんの生涯には人生のヒントが詰まっている」『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』【インタビュー】

(C)「ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜」製作委員会

-演じてみて、アヤコさんがコシノ三姉妹を育てられた理由を、どのように感じましたか。

 「自分で考え、やりたいことは好きにやりなさい」というアヤコさんの教育が、三姉妹の皆さんの根底にある気がします。「私は何もしていません」とほったらかしているように見えて、実は三姉妹それぞれの個性に合わせた教育をしている。そういう奥深い愛情も感じました。そんなアヤコさんの後ろ姿を見て育ったからこそ、三姉妹の皆さんはあれほどの実績を残せたのではないでしょうか。しかも皆さん、とにかくお元気なんです。80代にもかかわらず、会話や歩くときのテンポなど、全てがお若くて。やっぱり、アヤコさんあっての三姉妹なんだなと。

-アヤコさんは、コシノ三姉妹を育てただけでなく、戦争で夫を亡くされるなど、波乱の人生を歩んできました。その点についてはどんな印象を受けましたか。

 私の祖母も40歳で夫を亡くし、子ども5人を1人で育てましたが、戦争を経験していらっしゃる方は皆さん強いですよね。アヤコさんも、開戦を告げるラジオ報道を聞いても、動じることなく食事をしていたそうですから。おなかの中にミチコさんがいたとはいえ、みんなが手を止めて心配しているのに、「こんなときやからよって、食べやんと」と言って。そんなご苦労を乗り越えた末、「なにかを始めるのに、遅すぎる事なんてあるかいな」と、70代でファッションブランドを立ち上げて。そのバイタリティーとタフさには、驚くばかりです。

-大地さんご自身も初舞台から50年を超えるキャリアをお持ちですが、アヤコさんの人生から刺激を受ける部分はありましたか。

 もちろんです。私の同い年の友人も最近、ジャズダンスとクラシックバレエを始めましたし、私もいろんな挑戦をしてきましたが、これからもアヤコさんを見習い、臆することなく挑戦を続けていきたいと思います。

-アヤコさんは、大地さんのご両親くらいの世代だと思いますが、この作品を通じて、ご家族に思いをはせることはありましたか。

 アヤコさんは大正2年生まれで、私の父が大正3年、母が大正7年生まれなので、ほぼ同世代です。実は今回、アヤコさんのお気に入りの福島の郡山にあるおまんじゅう屋さんが、私の母方の遠縁に当たることが分かったんです。アヤコさんのお誕生日祝いに、特製のおまんじゅうを作ったこともあるらしくて。だから、このお役をやらせていただくことも必然かな、とご縁を感じました。

-それでは最後に、映画の公開を楽しみに待つ観客の皆さんへメッセージをお願いします。

 アヤコさんはまさに「ゴッドマザー」と呼ぶにふさわしい方で、劇中にはお父様が遺された「向こう岸、見ているだけでは渡れない」や、アヤコさんの「なにかを始めるのに、遅すぎる事なんてあるかいな」という名言も登場します。最後までその言葉通りの生き方を貫かれた方なので、アヤコさんの生涯にはさまざまな人生のヒントが詰まっています。ぜひ劇場に足をお運びいただいて、笑って泣いて、いろんなメッセージを受け取ってください。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)「ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜」製作委員会