丸山隆平が主演するNAPPOS PRODUCE舞台「oasis(オアシス)」が3月14日から開幕する。本作は、韓国を代表する映画監督のイ・チャンドンが手掛け、数々の賞を受賞した映画『oasis』を世界初の舞台化。30歳を目前に刑務所から出所してきた青年・ジョンドゥと、脳性麻痺を患う体の不自由な女性・コンジュの純愛を描く。
ジョンドゥを演じる丸山と、コンジュを演じる菅原小春、脚本・演出を務める山田佳奈氏が本作への思いを語ってくれた。

-山田さんは映画『oasis』は愛してやまない作品と公言されていますが、舞台化の経緯や、丸山さんと菅原さんの印象を教えてください。
山田 プロデューサーに映画『oasis』が本当に素晴らしい作品で、コンジュ役のムン・ソリさんの演技がとても印象に残っていること、そして舞台でチャレンジしてみたい作品だと伝えたところ企画が動き出しました。偶然が重なり、すぐにイ・チャンドン監督につながって、ご本人のOKが出たんです。夢のようだなと思いましたし、その作品に丸山さんと菅原さんが出演してくださることもうれしいです。
丸山さんとはもともと交流があり、好きな世界観が近いので、いつか一緒に作品を作りたいと思っていました。菅原さんは以前から踊りが素晴らしいと思って見ていたので、身体能力や表現力を多分に必要とするコンジュ役を任せるのは菅原さん以外に思い浮かびませんでした。
-丸山さんと菅原さんが演じるジョンドゥとコンジュは難しい役柄だと思います。お2人はオファーを受けたとき、どんな心境でしたか。
丸山 難易度という意味では、役にどこまで潜るかという点で、どの作品も大きな差はないと思っています。ただ、『oasis』は名作ですし、見る方にとってハードルは確実にある作品ですよね。そんな中で、山田さんが大切に思われている作品に声を掛けていただけたことが光栄でした。ジョンドゥを演じることは、どこか過去の自分を引っ張り出すような懐かしさも感じていますし、心の形がどう変化していくか相当面白いことになるのではないかと思っています。菅原さんに初めてお会いしたときは、なぜか自分の中でドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌が流れてきて(笑)。作品を通して、お芝居として運命的な人に出会えたような感覚があり、今からとても楽しみです。
菅原 『oasis』は大きな作品なので恐れ多い気持ちもありましたし、見た方からいろいろと言われるのではという怖さもあったのですが、山田さんにお会いして、作品への思いや運命的ともいえる舞台化までの流れを聞いたときに、「そんなことどうでもいいや、私はこの作品をやらなくてはいけない」と思いました。山田さんがこれほど熱い思いを持っていなければ、こんな短期間で舞台化に至らなかったと思いますし、「この作品はこの人のもとに舞い降りてきたんだな」と感じました。

-作品の魅力をどのようなところに感じていますか。
丸山 今の時代を生きていると、正直いろいろな縛りがありすぎて、しんどいと感じることが多いですよね。この作品を見ると、そうした気持ちが救われる気がするんです。物語自体はジョンドゥとコンジュ、2人の間の話なのに、周囲があれこれ口を出してくる様子は、今のネット社会にも通じるものがあると感じています。この作品は、時に乱暴なくらいに人と人がぶつかり合い、愛し合う姿を描いていくので、この舞台を見ている間だけでも誰かの心が救われたらいいなと思います。僕たち自身も、今の時代を生きているからこそ体を通して身を削って向き合うべき作品だと感じています。言葉にしきれないものこそ作品になるとよく耳にしますが、こういうことなんだと実感させてくれる作品です。
菅原 今はうつ病とかADHDとか、たくさんありますよね。何でも病名を付けて、みんなおかしいし、みんな普通だし、そこに境い目はないはずなのに、カテゴライズしないと気が済まない世の中だと思うんです。この作品を見ていて感じるのは、主人公の2人が1番ハッピーに生きていること。健常者と障害者で分けられるけれども障害がある人たちが1番幸せに生きていて、人生の楽しみを知っている。健常者と言われる五体満足に生活ができる人たちの方が、別の意味で何かを抱えていることに、皆が気付いていない。そういうことを教えてくれる作品です。ライブの舞台だからこそ、そういう人間の一番劣悪な部分と、動物的に燃えている2人の愛の部分を存分にお見せできると思います。
-丸山さんと菅原さんは本作が初共演となりますが、お互いに持っていたイメージと、お会いしてからの印象に変化はありましたか。
丸山 僕は「EIGHT-JAM」などのテレビ番組で三浦大知くんと踊っている姿を拝見していて、早くお会いしたいと思っていました。実際にお会いすると、体温や肌感を含めて全てを包み込んでくれる母性のようなものを感じて心地よかったです。僕はこう見えて人見知りで、僕なりの壁というかパーソナルスペースがあるタイプなのですが、菅原さんに対しては全くそういうのがなくて。波長が合うというレベルを超えて、もともと1個だったのかなと思うような、ソウルメイトに近い感覚になりました。
菅原 お互いに自然に手を握っていましたよね。私も丸山さんはアイドルの方というイメージしかなかったのですが、実際に会ってポスター撮影をしていたら、全く同じ笑い方をしていたんです。全てが開いているような笑顔で「何なんだろう、この感じは」と思って。確かにもともと1個だったという表現が、しっくりくる印象です。
山田 撮影のときに2人がじゃれている姿が、本当に映画『oasis』の2人と一緒だったんです。私も感動して切なくなって、2人を見ていて泣いてしまいました(笑)。

舞台は、3月14日~30日 東京・サンシャイン劇場、4月4日~12日 大阪・森ノ宮ピロティホール、4月17日~19日 愛知・東海市芸術劇場で上演。
(取材・文・写真/小宮山あきの)









