
▼海の民特有の発声
――台湾と地理的にも近い沖縄に共通点を感じることはありますか。
音楽面では、海の民特有の「明るく響き渡る発声」に非常に親近感を覚えますね。今回の来日は、集落の人々の祝福を背負っているような不思議な感覚があります。私の故郷は、かつて宮古島の人々との悲しい歴史(1871年の牡丹社事件)にも関わっています。しかし現在では、双方の子孫が和解の儀式や交流を続けています。
以前は、島に住みながら海をどこか恐れているところがありました。でも、世界の島嶼文化をつなぐプロジェクト「小島大歌(スモールアイランド・ビッグソング)」に参加したことで意識が変わりました。マダガスカルやニュージーランドなど、同じオーストロネシア語族の仲間たちとの交流を通じて、彼らは太平洋を中央にした地図を見ていることに気づいたんです。その時、海は「壁」ではなく、世界とつながる「道」なんだと感じました。オーストロネシア語族のルーツは、ここ台湾にあるそうです(近年の言語学研究で有力な説)。私たちの先祖はここから海を渡り、各地に文化の種を蒔いていったんです。私の音楽には、そうした海洋民族としてのアイデンティティも融合しています。
――本日の音楽パフォーマンスの見どころは?
特に注目してほしいのは、鼻で吹く伝統楽器の「双管鼻笛」です。右側に三つの穴があり、もう一方は穴がなく、この笛の音色は百歩蛇の泣き声とも言われます。実は日本があまりに寒くて鼻が詰まってしまい、吹けるかどうか心配なのですが(笑)、この音色を通じて、私たちの先祖の精神を感じていただければうれしいです。
▼自分たちのルーツを大切に
――最後に伝えたいことは。
台湾は小さな島ですが、3千メートル級の山々が連なり、多様な原住民族の言語と文化が共存しています。この豊かな環境と、自分たちのルーツを大切にする心を、日本の皆さんにも知ってほしいです。海でつながった隣国でありながら、私たちはまだお互いを深くは知りません。伝統を守ることは簡単ではありませんが、その価値を信じ、守り続けていきましょう。私の音楽を通して、台湾という島、そしてパイワン族の鼓動を感じてもらえたらうれしいです。マサル(パイワン語で「ありがとう」)!










