奈良県三郷町が設置する「奈良おもちゃ美術館」の指定管理者である社会福祉法人檸檬会(和歌山県紀の川市)は、2025年3月開館を前に、ボランティアスタッフ「おもちゃ学芸員」の出発式を行った。養成講座を受講したおよそ100人の学芸員が集まり、活動時に身につける赤いエプロンが授与された。
おもちゃ美術館は、良質な木のおもちゃを通じて子どもと一緒に遊びながら学べる「木育」がテーマの体験型施設。前田英隆館長は、「関西で初めてとなる施設。赤ちゃんからお年寄りまで、障がいのあるなしに関わらず、国籍に関わらず、みんなが楽しめる美術館を作りたい」と意気込みを語った。
同館は、通信制高校、障がい者就労支援サービス、日本語学校などが集まる「ソーシャルインクルージョンヴィレッジ」の一角に誕生する。檸檬会の前田効多郎理事長は、「ここはソーシャルインクルージョンを実現する場。全国でもこれだけの規模はなかなかない。働いてくれる人が、全国や海外も含めて世界中から集まっている。その人たちと一緒に、ソーシャルインクルージョン実現のために楽しくやっていける場所にしたいと思っている」と伝えた。
館内で活躍する「おもちゃ学芸員」には、20代から70代までの幅広い世代が名乗りを挙げた。前田英隆館長は、「皆さん、自分の力を人のために役立てたいという気持ちを持っている」と説明。出発式に参加した学芸員の竹本心美さんは、「おもちゃは子どもしか使っていないと思っていた。若者や社会人など、多世代交流できるおもちゃの魅力をもっと知りたくなった」ことが応募のきっかけ。「ここで楽しく交流し、思い出を残して、温かい気持ちになっていただける場所を作っていきたい」と抱負を語った。