72℃15秒間の低温殺菌法「パスチャライズド製法」で製造する生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(東京、以下生活クラブ)の「パスチャライズド牛乳」。1979年に酪農家とともに工場を設立してその歴史が始まり、2024年で45周年を迎える。現在、千葉県・栃木県・長野県に牛乳工場を持ち、組合員への配送と、東京・神奈川・埼玉・千葉の4都県の生活クラブの店舗「デポー」で展開している。年間販売量は約1030万リットルに及び、生活クラブを代表する存在だ。ところが、生活クラブが2023年9月に10~60代の男女664人を対象に行った認知度調査では、パスチャライズド牛乳を知っていると答えた人は、わずか7.3%。半世紀弱の歴史があり、生乳のおいしさと栄養価が最大限に生かされた「パスチャライズド牛乳」を、より多くの人に知ってもらおうと、「もうひとつの牛乳 -Another Milk-」プロジェクトが1月16日にスタートした。
今回のプロジェクトでは、「パスチャライズド牛乳を初めて飲んだ人たちはその味にどのような反応をするのか?」という点に焦点を当て、一般の人たちが試飲した時のリアルなリアクションを収めたドキュメンタリー動画を作成。ショートバージョン (30秒)とロングバージョン(1分45秒) を公開した。
動画作成に当たっては、動画に映る人物の表情を感情認識AIで分析するWebアプリケーション「WOW値分析ツール」を活用した。これまで、人間の驚きやうれしさなどの感情は、表情から感覚的に感じ取ることができても、客観的な指標で測定することが難しいとされてきた。そこで、初めてパスチャライズド牛乳を飲んだときの“WOW”の度合いを客観的な指標で測定し、無意識の感情を捉えることを目的に、このツールを開発した。
AIは、あらかじめトレーニングされた膨大な表情サンプルの情報を元に、ビデオから顔と顔の中の目・鼻・口・眉毛などの特徴を抽出。人間の持つ7つの感情「中立的(無表情)」「喜び」「悲しみ」「怒り」「恐れ」「嫌悪」「驚き」の感情のうち、どの程度、「驚き(SURPRISED)」または「喜び(HAPPY)」に近いか、その度合いをWOW値として算出した。
撮影に協力した一般客たちは、カメラ前で初めて「パスチャライズド牛乳」の撮影であることを知った。そして、牛乳を飲むのは本番の1回限り。そのファーストインプレッションを撮影し、表情をリアルタイムで測定し、ドキュメンタリー動画として収録した。MAX「WOW値」が99.86%に達し、TYPEは「HAPPY」と測定された女性も。「パスチャライズド牛乳」を飲んだ結果、非常に高い幸福感を得られたようだ。また、2023年10月に埼玉県内の商業施設で行った試飲会に参加した107人へのアンケート調査結果では、「パスチャライズド牛乳」は「飲みやすい」(90%以上)、「新鮮である」(85以上)、「まろやかである」(70%以上)などの好反応を得られたという。生活クラブでは、パスチャライズド牛乳の認知度アップを、国内の酪農の応援にもつなげていきたい考えだ。