「2025年度全国選抜小学生プログラミング大会」(全国新聞社事業協議会主催)の全国大会で、協賛企業のIT企業・アイティフォー社(ITFOR、東京)による「アイティフォー賞(3位相当)」を、石川県代表のチーム「Plantrix」が受賞した。同チームは4月3日、東京都千代田区にある同社の本社に招かれ、役員や社員たちに、受賞作品のロボット「cyber plant neo」の開発趣旨などを説明した。
「Plantrix」のメンバーは、いずれも石川県内の小学校に通う、カバクリ・アリさん(小4)、中道ゆいさん(小4)、福浦慧真さん(小2)の3人。アリさんの父親が石川県かほく市で開くプログラミング教室に所属する仲間だ。開発したのは、植物の意思をくみ取り、植物のために動くロボット、「ネオ」。世界のリーダーや専門家によるプレゼンテーション動画「TED Talks」を見て、「植物とコミュニケーションを取る」という着想を得たという。
冒頭、アイティフォーの坂田幸司・代表取締役社長は、同社の業務について、「地方創生による社会貢献のために、地方自治体、地方の金融機関、百貨店などにシステムとサービスを提供している会社。世の中の困り事に取り組んでいる会社です。そういう意味では、プログラミングを通して世の中の課題を解決しようという皆さんの今回の取り組みと共通しています」と述べた。そして「小学生の皆さんの柔軟な発想と真っすぐな姿勢は、必ず社員たちの刺激になると思います」と、社員たちの前でのプレゼンテーションに期待を寄せた。
アイティフォー賞の選出に関わった同社の橋本健司・執行役員は、「わが社が農業に関わる実証事業に取り組んでいることもあり、3人のアイデアに非常に共感したこと、われわれでは思いもつかない発想に驚いたことが、選出のポイントになりました。わが社もフロアの屋外でITを利用して植物を育てているので、皆さんにアドバイスをいただきたい」と話した。

3人は、集まった社員たちを前に、“植物の秘密の言葉を話すロボット”「ネオ」についてプレゼンテーションを実施した。植物を乗せた「ネオ」は、植物の非常に小さな信号をキャッチして電圧アンプで増幅し、プログラミングロボット「Makeblock」に転送する。そのシグナルから言葉を読み取るシステムを作り、植物のやりたいことを手伝うのが「ネオ」。植物の言葉をデータにして使う挑戦だと説明した。具体的に「ネオ」ができることは、①水が少ない時に水ステーションへ移動する。 ②光が必要な時に光の方に向かって動く。 ③家で火事・ガス漏れ・盗難などの異常を発見した場合、システム→ロボット→小型コンピューターの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」へと信号が送られ、そこから所有者へメッセージが送られる。 ④植物が病気になるとプラントホスピタルAIが診断し治療を行う――など。
今回はプログラミングロボットのAIを活用しているが、「いずれは、インターネットがなくても使える独自のAIを作りたい」という3人。そして、植物の意思をくみ取れるようになることで、自然と技術が共に育つ新しい世界を作っていきたいという夢を披露。「NASAの植物プロジェクトのように、ネオが火星に行くかもしれません」と語った。
苦労した点については、スマートフォンのアプリにメッセージを送る点を3人とも挙げ、「何度もやってみてようやく送れるようになった」と振り返った。また、今後については、「大きな植物が病気になったときに、プラントアンビュランスが来て治療をするようなシステムを作ってみたい」「より多くのシグナルを読み取れるものを作りたい」「少ないエネルギーと費用で作れるものを開発したい」などと抱負を語った。

同社の河野一典・取締役執行役員は、学生時代に育てていた植物を3カ月で枯らしてしまった体験談を挙げ、「あのころにこの仕組みがあったら、植物を枯らさないで済んだかもしれません。“植物とのコミュニケーション”というテーマに挑戦してみたいと思った皆さんの感性、そしてこんなに若いうちから1人ではなく共同作業で取り組んだ点がすばらしい。ネオのようなシステムを世界で必要としている人もいると思います」と感想を述べた。
社員たちからは、「ロボットに乗った植物だけではなく、プランターや畑に植えられている野菜たちの声を聞き取るような仕組みも、君たちなら考えられるのではないか」、「作物の出来不出来の予測から、クマの出没率を予測するようなシステム開発につなげられる可能性もあるのでは」、「実際に植物を育てている人、植物に関わる人たちにどんなものが欲しいか話を聞いて実装できると、よりよいものが作れると思う」などの感想が寄せられた。プレゼンの終了後、子どもたちと家族は、同社12階の屋外プランターに案内され、ITを活用して多様な植物を栽培する実証実験について説明を受けた。

全国選抜小学生プログラミング大会は、小学生が自らプログラミングして制作したアプリやゲームなどの作品を披露するコンテスト。2025年度の全国大会は、3月8日に東京都内で開かれた。全国大会には1402組の応募者の中から、都道府県大会を勝ち抜いた46組55人が出場。プレゼンテーションで競い合い、「発想力」「表現力」「技術力」によって最優秀のグランプリ(文部科学大臣賞)をはじめ、協賛企業賞などの各賞受賞作品を選出した。









