製造業59万人を筆頭に、医療・福祉・建設・サービス業など現在の日本の基幹産業のあらゆる現場を、外国人材が支えている。厚生労働省統計によると、2024年10月末時点の外国人労働者数は230万人を突破し、統計開始以来、過去最多を更新。外国人は就業者全体の3.4%を占め、その数は10年前の約3倍の230万人超に。その一方で、日本で働く外国人の離職率は29.4%で、日本人労働者での離職率(15.4%)の約2倍に上る。外国人材が定着しないことが課題となっている。
■30%近くが3年以内に離職
訪日外国人向けの多言語通訳・翻訳、BPO(Business Process Outsourcing、企業の業務の一部または全体の外部委託)事業などを展開する株式会社インバウンドテック(東京)は、日本国内の外国人労働の現場で、“採用後の崩壊”が起きていると指摘する。
同社によると、2035年には日本全体で384万人相当の労働力不足が見込まれる(パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2035」)というデータもあり、外国人材は補助的な労働力ではなく、日本経済の根幹を支える構造的な存在になっている。
そのような状況下で外国人材の採用・紹介・研修に数十万円単位のコストをかけながら、定着に結びついていない現状。約30%の離職は3年以内に起きている、と同社はいう。離職の引き金は、職場環境や待遇よりも“生活の壁”。住居契約・保険加入・通信手続き・ゴミ出しのルールなど、日本での生活を始めるための情報が母国語でほとんど手に入らないことが、定着を妨げているという。
外国人受け入れ企業での実例として、「入社前後のサポートは整えていたつもりだったが、住居の契約トラブルが相次ぎ3カ月で2人が帰国した。採用にかけたコストがすべて無駄になった」(製造業)、「ゴミの出し方、近隣とのあいさつのルールが伝わらずクレームが来た。職員も外国人スタッフも悪くないのに、関係が壊れてしまった」(介護施設)などの声が寄せられているという。
■「生活インフラの言語の壁」解消へ、グループ力を増強
こうした中、インバウンドテックは、経営支援業の株式会社FW(東京)を完全子会社化。FWの完全子会社である特化型サイト運営の株式会社ウェブクルー(同)も、インバウンドテックグループに加わることになった。
インバウンドテックは、24時間365日・12カ国語対応のカスタマーサポート体制を強みに、企業の顧客対応や営業支援を行っている。一方のウェブクルーは、保険・引越し・自動車・シニア・教育など幅広い分野での比較・資料請求サイトを展開。累計2000万人以上の利用実績を持っている。また、ウェブマーケティング、広告運用、システム開発も自社内で行っている。今回のグループ化で両者の持つ力を融合し、在留外国人の生活インフラ選択を支えるプラットフォーム拡充を目指していく。
具体的には、在留外国人向け比較・資料請求サイトなど、新たな収益モデルの構築も視野に入れ、IT・ウェブサービス領域への展開を加速する。まずは、ウェブクルー社が展開する一括見積もりサービスや生活関連サービスを多言語化し、外国人ユーザーが安心して利用できる環境整備を推進。その後、さまざまなサービス領域へ展開させていくという。
インバウンドテック創業者で取締役会長の下大薗豊氏は「創業以来、“人にしかできないサービス”の価値を大切にしながら、訪日外国人、日本で暮らす外国人の皆さまを支えるサービスを展開してきました。近年、日本社会での多言語対応の重要性はますます高まっています。行政・医療・観光・生活インフラなど、あらゆる場面で正確で温かみのあるコミュニケーションが求められています。これからも当社グループは、“言葉の壁をなくし、人々の暮らしを豊かにする”という使命のもと、挑戦を続けていきます」とコメントしている。








