鹿児島県最南端に位置する与論島の観光スポットや住民の写真を車両内外にあしらったラッピング列車「ヨロン号」が2月8日、東京都と神奈川県を結ぶ京浜急行電鉄で運行を始めた。コロナ禍で低迷した観光客の呼び込みと、ふるさと納税による地域産品の需要喚起を狙い、与論町が企画。羽田空港に乗り入れる京急線のほか、相互乗り入れの都営浅草線、京成線、北総線を3月11日まで運行する。運行予定は京急のホームページに掲載される。
鮮やかな青色の車体が特徴の特別塗装列車ブルースカイトレイン600形(8両編成)の車体には、エイサーの装束を身に着けたりサーフボードを抱えたりした住民の等身大写真、ウミガメのイラストなどが貼られ、「ヨロン島へおいでよ!」と誘っている。車内の中づり広告は「星空」「海」「文化」「ロマン」の4種類あり、水深18メートルにつくられた海中宮殿、サンゴ由来の白い砂利が敷かれたホワイトロード、島の歴史や文化に触れられる与論民俗村などを紹介。窓上の広告は11月に予定されているマラソンや黒毛和牛など8種類、ドア横はふるさと納税の2種類、ドアには島特産の黒糖焼酎2種類などと、与論尽くし。
車両内外の写真に登場するのは、公募で選ばれた3歳から86歳までの住民約200人で「島、住民、暮らしの魅力が伝われば」(与論町総務企画課)としている。9日に東京都内で開かれた記念レセプションでは、同町出身のミュージシャン川畑アキラさんがテーマソング「走れ、ヨロン号」を披露するなど、島をあげてPRに努めている。
与論島は、年平均気温摂氏21.6度の温暖な気候と、エメラルドグリーンのサンゴ礁の海で知られる。干潮時だけに姿を見せる「百合ヶ浜」をはじめとする真っ白なビーチ、そこに寝転がって見る満点の星空、素朴ながらも懐かしさを覚える郷土料理などが、多くの観光客を魅了している。