高齢者の一人暮らしという問題を抱える国は多い。健康で動けてもネットの手続きが難しかったり、孤独にさいなまれたり。フランスでは、「異世代ホームシェア」という選択肢ができている。家族の枠を超え、高齢者と若者が共同生活をするスタイルだ。『70代からのパリジェンヌ・スタイル フランス女性に学ぶ、幸せなシニア暮らし』(ゴダール 敏恵著、主婦と生活社、税込み1540円)にそのインタビューなどが掲載されていて興味深い。
高齢者と同居するのは、主に大学生を中心とする若者。パリの家賃は高額で、就学や就職のために“上京”してくる若者が手頃な住まいを見つけることは難しい。一方で一人暮らしのパリの高齢者は、自宅に使っていない部屋を持っている場合がある。離れて住む家族にとっては、介護施設に入居するほどではないにしても、高齢の親の一人暮らしはやはり心配だ。この三者の望みに応えるために、非営利団体が立ち上がり、若者と高齢者間の社会的連帯によるホームシェアの仲介が実現している。
著者は、パリでエステティシャン、ソシオ・エステティシャンとして20年以上活躍している。実際に異世代ホームシェアをしている高齢者と若者にインタビューしており、同じ高齢化社会の日本にもたくさんのヒントが詰まった一冊だ。