交通機関が大抵時間通りに動く日本を出て生活すると、ストや事故がなくても恒常的に遅れる列車や地下鉄にストレスをためないよう努力する習慣が身につくが、慣れっこのはずの地元の人々もストレスは十分感じているらしい。パリの地下鉄の度重なる遅れに業を煮やした22歳の男性が、パリ交通公団(RATP)が地下鉄が遅れるたびに公式サイトにアップする“言い訳”情報を収集、分析し、遅れる理由や、一番遅れの多い番線、遅れた累計時間などをグラフにしてTwitter上に並べ話題になっている。
地元パリジャン紙によると、この“調査”をしたのはパリ11区在住のロメオさん(22)。日常的に8番線メトロを使っているが、何らかのトラブルで遅れが出て時間を無駄に使うことが多く、ぎゅう詰めの車両で我慢を強いられるのは日常茶飯事。「最悪なのは、理由がはっきりしないこと。“運行上のトラブル”なんていう公団のメッセージは理解不能だ」。
そこでそのイライラを有効に使いたい、とボットと呼ばれるタスク実行アプリを使って昨年11月30日から今年1月4日にかけて、公団が出すメッセージをリアルタイムで収集してみた。すると全体として6、8、12番線が最もトラブルが多く、中でも12番線では、1日平均なんと合計5時間にわたる“ダイヤの乱れ”が明らかになった。7、9、11、13番線もトラブルの多い線と分析されており、乱れの少ないラインの方が珍しい感じだ。
さて、公団がいちいち発表しているダイヤの乱れの「理由」を集計した結果だが、最も多かったのはロメオさんが「理解不能」と非難する「運行上のトラブル」で、その数463件。次点が安全(セキュリティー)目的で221件。乗客の忘れ物136件、信号やポイント故障などの事案89件、乗客の病気などが80件、そして線路上など危険な場所に人がいるというトラブルが76件もあった。