カルチャー

村上春樹からの著者メッセージ 新作刊行にあたって

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 前作の『騎士団長殺し』以来6年ぶり。村上春樹さんの1200枚に及ぶ新作の長編小説『街とその不確かな壁』の刊行まであと少しだ。刊行にあたって「著者メッセージ」(新潮社・東京)が公開された。

 その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――。「古い夢」が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された「物語」が深く静かに動き出す。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上文学。メッセージで著者は、「コロナ・ウイルスが日本で猛威を振るい始めた2020年の3月初めに、この作品を書き始め、三年近くかけて完成させた」とし、その間、ほとんど外出も長期旅行もせず、異様な緊張を強いられる環境下だったと吐露している。読者のわれわれにも、まだ生々しく、記憶ともいえないほど身近な“コロナ禍”。その中で書き上げた作品、全開の村上ワールドを堪能しながら、この3年にわたるさまざまな緊張を解きほぐしたい。

 4月13日、村上作品の長編小説では初めて、電子書籍でも同日配信される。