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太陽光発電と水素エネルギーでカーボンニュートラルを実現 白河工場で「水素エネルギーを活用したタイヤ製造のお披露目会」

 

カーボンニュートラル実現に向けた鍵となる「水素」。住友ゴム工業(神戸市)は、4月18日(火)・19日(水)に福島県の白河工場で、「水素エネルギーを活用したタイヤ製造のお披露目会」を実施した。

製造時Scope1.2 カーボンニュートラルを達成した量産第1 号タイヤ

同社は 2021年8月から、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、次世代エネルギーとして期待されている水素活用に向けた実証実験を行っている。同社の最先端の製造システムである高精度メタルコア製造システム「NEO-T01(ネオ・ティーゼロワン)」において、水素ボイラーで発生させた高温高圧の蒸気を供給。電力については同工場の従業員駐車場に太陽光発電設備を導入した。これにより、太陽光発電と水素エネルギーを使用した製造時(Scope1,2)カーボンニュートラルを達成した量産タイヤとして、FALKENブランドで「AZENIS FK520」の生産を今年1月にスタート。今回の水素関連設備等のお披露目に至った。同社調べでは、太陽光発電と水素エネルギーを活用してカーボンニュートラルを達成した量産タイヤは国内で初めて。

太陽光発電設備
説明会の様子
説明会の様子

また、4月中旬には、生成過程で酸化酸素を排出しない「グリーン水素」を製造する同県浪江町の「福島県水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」から一定量の水素を受給した。同実証実験の目的の1つである「福島生まれの水素を利用した地産地消モデルの構築」に向けた取り組みを継続していくという。

本館ロビー展示
本館ロビー展示
水素受入施設
見学会の様子

2日間のお披露目会には、新エネルギー・産業技術総合開発機構の大平英二氏、産業技術総合研究所の古谷博秀氏、福島県知事の内堀雅雄氏などが出席。水素エネルギーを活用したタイヤ製造についての説明に続き、水素ボイラーや水素トレーラー、実証実験を行っているタイヤ製造システム「NEO-T01」の見学会が行われた。

水素トレーラー
水素トレーラー

大平氏は「産業部門の二酸化炭素排出に対して、アプローチしていく中でも水素は重要なオプションになる。水素への転換は一朝一夕でできることではない。ハードルは高いが、その一歩を踏み出してくれたことに敬意を表するとともに、今後も一緒に取り組みを進めることを約束する」と話した。

水素ボイラー
ご視察の様子

古谷氏は、「産業の中でどうしても燃料を使わないといけない部分があるが、そこをいかにカーボンニュートラルにするかという課題にいち早く手掛けられた。福島県が、そして日本が誇っていいタイヤになるのではないか」と話した。

内堀知事は「アジアで最大規模を誇るタイヤ製造工場としてメードイン福島のタイヤを世界中に送り出している。地域産業の持続可能性を高めようとさまざまな魅力ある事業を展開されていることに御礼を申し上げる。県としてはこれまで以上に水素エネルギーをはじめとした利活用拡大に取り組み、福島の復興とカーボンニュートラルの実現に向けさらなる挑戦を続けていく」と話した。

住友ゴムは引き続き、水素社会の実現に向けて、産・学・官の連携強化を目指していくという。