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電子書籍化絶対不可能 『ダ・ヴィンチ』今月のプラチナ本に選出

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 電子書籍にできない仕掛けがある、といわれると、それだけで読んでみたくなる。『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光著、新潮文庫nex、税込み737円)が、情報誌『ダ・ヴィンチ』編集部(新潮社・東京)が8月号で紹介する「今月の絶対はずさない!プラチナ本」に選ばれた。

 5月1日に発売されたこのミステリー小説は、あちこちの書店でベストセラー1位を獲得。「本の形をした芸術作品」、「何を言ってもネタバレになるから、スゴイとしか言えない」など並ぶ口コミにも吸い寄せられる。紙の書籍でしか実現できない仕掛けが施されているのが特徴で、読者に“体験”をもたらすたくらみに、普段あまり本を読まない若年層にも読者を広げているという。

 著者の杉井光さんは「これまでの読書人生において一度だけ、読み終わった後にただ言葉を失うしかなかった、という本がありました。それに匹敵する純粋に強烈な読書”体験”を、読者にぶつけてみたい。そんな思いでこのアイデアをプロットに落とし込み、多くの方々の協力を得て本の形にしました。出版できたこと自体がすでにひとつの奇跡です」とコメントしている。