18世紀半ばの時代の変わり目に、この国オリジナルの思想を生みだした本居宣長。中国伝来でも、西洋由来のいずれでもない日本ならではの倫理学を改めて見直す『本居宣長 「もののあはれ」と「日本」の発見』(新潮社、税込み2090円)が発売された。著者は、日本思想史を専門とする先崎彰容(せんざき・あきなか)氏。
宣長らが作りあげた日本の倫理学・国学は、幕末から明治、昭和の戦中期にかけて隆盛を誇った。一方、戦後は一転して、神国思想につながったとして批判されることもあった。東西対立が深まる時代の転換期、日本とは何か、日本人とは何かを考えるために避けて通れない「知の巨人」に挑む一冊。先崎氏は、「本書は、賛否両論ある本居宣長という思想家の前半生をよみがえらせようとする試み」としている。