ふだんは忘れていても、自給率の話題や、さまざまな要因で作物の値段が上がったりするたびに、農業の大切さをしみじみ考え、日本の農業についての知識不足に恥じ入る。複数の指標を駆使して各県農業の「真の実力」を読み解いた『日本一の農業県はどこか 農業の通信簿』(山口亮子著、新潮社・東京、税込み946円)が発売された。
作っている作物も事情も異なる各県の農業を一律に評価するのは難しい作業だが、農業ジャーナリストである著者は、各県の農業産出額を農業関連予算で割り出すことによって「コスパ」を算出、それをランキング化した。浮かび上がってきたのは、都道府県魅力度ランキングの下位常連組が最強グループを成しているという意外な事実。農業県のイメージの強い、いわゆる「こめどころ」は、コスパの点から見ると最下位グループだったそうだ。
労働生産性1位は、少ない人数で広い農場を管理できる北海道。土地生産性1位は、高値で売れる肉牛の生産が盛んな宮崎県。園芸(野菜や果物類)の生産性1位は、狭い土地での収量の拡大をひたすら追求してきた高知県。さて、最強の農業県は?