日本生産性本部(東京都千代田区)のメンタル・ヘルス研究所はこのほど、企業の人事担当者に聞いた従業員のメンタルヘルスに関する調査、第11回「メンタルヘルスの取り組み」の概要を公表した。
同調査は2002年からおおむね隔年で行っており、今回は2023年7月7日~9月4日に郵送とウェブで実施し、上場企業169社の人事担当者から回答を得た。「心の病」が最も多い年齢層が10~20代とする回答が過去最多になったことなどが特徴で「コロナ禍を経て働く場所や働き方が見直される中、企業の人事担当から見た従業員のメンタルヘルスの現状と組織の状況などが明らかになった」としている。
「心の病」が最も多い年齢層について、10~20代との回答が前回2021年の29.0%から43.9%に急増し、26.8%だった30代(21年は39.9%)を初めて上回って「心の病」が最も多い世代となった。これについて同研究所は「調査結果だけでは判断できないが、コロナ禍で入社した若手層がテレワークなどで対人関係や仕事のスキルを十分に積み上げることができない中、5類移行に伴う出社回帰の変化が大きなストレスになったとも考えられる」と分析している。
また、直近3年間に「心の病」が「増加傾向」と回答した割合は45.0%となり、「横ばい」と並んで最多となった。「増加傾向」は前回調査で22.9%と過去最低だったが、今回は大幅増加となった。「コロナ禍を発端とする働き方や職場の在り方の変化などの影響が考えられ、今回の増加傾向急増が一過性か、新たなトレンドとして継続していくのか注視する必要がある」とコメントした。
このほか、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)向上の取り組みや、ストレスチェック制度の目的などについても調査している。調査結果の概要は、日本生産性本部ホームページ。