災害時に緊急避難する場所といえば、多くの場合学校の体育館や公的施設だが、いわゆる“住居”としての機能には乏しく、長期間の生活にはさまざまな困難が伴う。近年、旅先の宿を決める時に選択肢に加わっているAirbnb(米・カリフォルニア州)が、日本で全国的な災害対策プログラムを設け、緊急避難先となる宿泊施設を47都道府県で提供することが決まった。
各非営利団体の協力のもと、日本国内で地震や津波などの大規模な自然災害が発生した場合、全国47都道府県の選定地域で24時間以内に緊急避難先となる宿泊施設の提供を行える災害対策の仕組みを提供するもの。Airbnbにとって世界初の防災対策プログラムで、Airbnbが設立した非営利団体Airbnb.org (エアビーアンドビー・ドット・オルグ) でのこれまでの活動から得られた実績と経験を基に構成され、深刻な自然災害などが発生した際に、迅速に支援を行うことを目指している。
Airbnbの共同創設者兼CEOブライアン・チェスキ氏は、「危機的状況において人々が安全に滞在できる場所を確保することは、復興の基盤を築くことにつながります。早期にさまざまな連携を行うことで、後々大きな結果となって現れることも、私たちは何度となく目の当たりにしてきました」と、取り組みへの意気込みを語っている。
ちなみにAirbnb.orgは世界中で発生する自然災害など困難な状況にある人々を一時的な緊急避難先となる宿泊施設に結びつける役割を果たしている。一時的な滞在先を必要とする人々と、自分の家を支援のために提供する意志のあるAirbnbホストをつなぐために、Airbnbプラットフォームを活用。
Airbnb.orgで運用している寄付金はすべて避難先の宿泊施設の提供へ直接利用されるため、Airbnb.orgの宿泊は無償で提供されている。2020年の設立以来、Airbnb.orgは全世界で25万人以上に160万泊分に及ぶ一時的な滞在先を提供してきた。