小学生野球の高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは17日、東京・駒沢球場などで1回戦が行われ、5年ぶり3度目の優勝を目指す多賀少年野球クラブ(滋賀)が13-1で初出場の岩室クラブジュニア(新潟)に快勝した。
初出場の別府大平山少年野球部(大分)は2-1で西城陽MVクラブ(京都)に競り勝った。
決勝は22日に神宮球場で開催される。
【8月17日:駒沢球場で行われた各試合のリポート】
▽多賀少年野球クラブ(滋賀) 13-1 岩室クラブジュニア(新潟)
多賀少年野球クラブの辻正人監督は大勝にも「うちは守り中心のチーム」と強調した。17度の出場を誇る強豪らしい危なげない初戦を「序盤にリードを広げられたのは大きい」と振り返った。
二回、2失策に四球で満塁とすると、そこから6安打を浴びせて9点を奪った。二回に中前適時打、三回にも犠飛を放った松永眞生は「全員でつないで取った点だった。次戦も大差で勝ちたい」と頼もしかった。松永は中堅手としても五回に中堅左への打球に飛び込んで好守を見せた。「一番守りのいい選手を外野に置いている」と辻監督が明かす持ち味が発揮された。
辻監督は「もう一度日本一を目指す」と5年ぶり3度目の頂点を見据える。(黒田貴明)
▽別府大平山少年野球部(大分) 2-1 西城陽MVクラブ(京都)
別府大平山少年野球部が一回に挙げた2点を守って逃げ切った。
一回、先頭打者の井上幸大の安打に続き、豊島大和が右翼線へ三塁打を放って先制。1死後に4番山下啓太がスクイズバントを決めて1点を加えた。結果的にこれが決勝点となり、今宮美智雄監督は「4番でも関係ない。バントはあります」と手堅い試合運びについて語った。
豊島は「1、2番で点を取りたいと思っていて、ライト方向に狙いを定め打った。思ったより伸びた」と三塁打を振り返った。投手としては五回に登板して試合を締めくくった。僅差でのリリーフに「少し緊張した」というが、落ち着いたプレートさばきで2回を無安打。「次の試合では点差を広げて勝ちたい」と頼もしかった。(大内郁人)
▽豊上ジュニアーズ(千葉) 3-0 加納厚見(岐阜)
豊上ジュニアーズは毎回得点圏に走者を背負いながら、零封勝ちを収めた。高野範哉監督は「今回はたまたまこっちがついていた。悪いところもたくさんあった」と振り返ったが、終盤にピンチで得点を許さない粘りは出場5回目の強豪にふさわしい戦いぶり。
五回1死満塁で登板した早川歓は2人の打者をともに2球で追い込んで捕飛と三ゴロに仕留めた。全球ストライクでピンチをしのぎ「絶対に走者を出してはいけないという意識があった」と静かに話した。
六回は2四球と苦しんだが、最後はショート石井岳のファインプレーに救われた。「ダイビングで取ってくれてうれしかった」と早川は感謝を口にした。
高野監督は「毎試合一つ一つです」と謙虚に語りながら、手応えを感じている様子だった。(吉田達哉)
▽平川ジュニアベースボールクラブ(青森) 2-1 下関ドリームス(山口)
平川ジュニアベースボールクラブの清藤愛音が先発登板して4回を1安打無失点、打っては四回に先制の2点打を放ち、勝利に貢献した。
台風7号の影響で試合が1日延び「緊張もあったけど、早く試合がしたいという気持ちだった」という。そのアグレッシブさが功を奏したのか、立ち上がりから三者凡退で力強かった。
「全国の強豪相手に無失点はできないと思っていた」と明かし、好投を喜んだ。初出場のチームを支えるエースだが、好きな選手は米大リーグ、パドレスの強肩強打のタティス。投球以上に打撃に自信を持っている。
水木宏之監督は「予選でこういう接戦はほとんどなかった。ここにきてまた成長している」と守り勝った一戦に手応えを口にした。(野村春輝)