小学生野球の高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは18日、東京・駒沢球場などで2回戦が行われ、昨年優勝の新家スターズ(大阪)が10-7で山野ガッツ(埼玉)に逆転勝ちした。
2年連続2度目出場の船橋フェニックス(東京)は3投手の継投で国分小軟式野球スポーツ少年団(鹿児島)を無安打に抑え13-0で快勝した。
決勝は22日に神宮球場で開催される。
【8月18日:駒沢球場で行われた各試合のリポート】
▽新家スターズ(大阪) 10 ― 7 山野ガッツ(埼玉)
新家スターズが前年優勝チームの意地を見せ、シーソーゲームを制した。
5-7で迎えた四回無死二、三塁、黒田大貴が5球目の速球を思い切りのよいスイングで捉えた。「負けている状態だったからつなごうと思った」と長打狙いではなかったが、打球は左翼へ一直線に伸びて逆転3ランに。黒田にとって公式戦初となるホームランは、大舞台での決勝打となり「最高の結果になってよかった」と振り返った。
新家スターズの千代松剛史監督は、初出場ながら強打を誇る山野ガッツとの対戦を迎え「打ち合いは想定していた」という。逆転されても選手には我慢するよう呼びかけた。「(去年の優勝を見た)子供たちに『先輩に負けてたまるか』という意地のようなものがあったかもしれない」と選手の成長を感じている。「最後は魂で勝った」と初戦の激闘を振り返った。(浅水優佳)
▽船橋フェニックス(東京) 13 ― 0 国分小軟式野球スポーツ少年団(鹿児島)
船橋フェニックスが1回戦に続いて大量得点を挙げ、相手を零封する圧倒的な強さを見せた。
一回、濱谷隆太が右翼に豪快な本塁打をたたき込み2点を先制する。「内角低めのスローボール。予選を含めて一番いいホームランを打つことができた」と振り返った。濱谷は三回に左前適時打、五回に中前適時打と3打席連続で打点を挙げ、五回には打者一巡でもう1安打を加えた。プロ野球ソフトバンクの柳田悠岐を目標とし、力強いスイングが持ち味で、1回戦でも2安打を放った。
この日は3投手が継投で無安打無得点と守っても完璧な内容だった。次戦は昨年王者の新家スターズ(大阪)との対戦になる。木村剛監督は「手堅い野球をされるだろうが、今まで培ってきたチーム力で勝ちにいく」と決意を口にした。(黒田貴明)
▽豊上ジュニアーズ(千葉) 8 ― 1 平川ジュニアベースボールクラブ(青森)
豊上ジュニアーズの桐原慶は投球制限の70球に近い65球を投げ、5回を4安打1点に抑えて勝利に貢献した。17日の1回戦でも4回を投げており、高野範哉監督は「疲れが出てくるころだろう」と心配な様子を浮かべたが、桐原は「勝利したから一気に疲れが抜けた」と笑顔だった。
一回、守備の乱れもあっていきなり無死一、二塁のピンチを背負ったが、狙い通りという投ゴロ併殺で切り抜ける。2安打を許した二回に1点を失ったが「ボールが外に抜けないよう右打者の内角を狙う」という意識が奏功して、三回以降は危なげなく、五回の味方の援護を呼び込んだ。
3連投が予想される3回戦に向け、桐原は「調子は上がってきている。疲れるだろうがいけるところまで頑張りたい」と意気込んだ。(藤山ゆりあ)
▽平戸イーグルス(神奈川)21-0丸亀城東少年野球クラブ(香川)
平戸イーグルスは終盤に2度の打者一巡を記録するなど21得点し、しかも相手を零封した。1996年アトランタ五輪代表の中村大伸監督の「やるべきことができるように」という教えを選手たちが実践しているからだろう。
先発で4回2安打と好投した市村継心は「自分にできることをやる」とチームの信条を語った。3番打者としては7打点の大活躍で「(安打なしでも)1死三塁で点が取れるのが平戸の野球。そういうバッティングができた」と打点を意識して打席に立ったことを明かした。
中村監督は次戦について「相手よりもまず神宮でできることを子供たちに感謝したい。神宮は聖地」と静かに話した。(吉田達哉)