社会におけるさまざまな課題や困りごとを「イシュー」として掲載し、広く意見を募る社会デザインプラットフォーム「Surfvote」(Polimill・東京)。このほど、映画ライターの安藤エヌ氏が「俳優へのカミングアウト強要、どう対処すべきか?」というイシューを投稿。8月18日~10月31日までに集まった投票結果が公表された。
安藤氏は、NetflixやAmazon prime videoなど大手配信サイトを中心に、セクシャルマイノリティのキャラクターを扱ったクィア作品が注目を浴びるようになってきた中、作品に出演する俳優のセクシュアリティを詮索し、カミングアウトの強要につながる事態が起きていると指摘。看過できない問題とし、俳優のプライバシーを守り、未然に防ぐにはどのような方法があるのか問題提起した。
65票が寄せられ、「配信企業や映画制作会社が率先して俳優のプライバシーを守るべき」が約3割(29.2%)、「SNSでの俳優に対するプライバシーの詮索を厳しく取り締まるべき」が24.6%、「受け手側の意識を変え、プライバシーの尊重に対する意識を高めるべき」が24.6%だった。
投票に際してのコメントでは、「社会全体が意識を持ち、『受け手側の意識を変え、プライバシーの尊重に対する意識を高めるべき』という選択肢につながっていくと考えます。SNSを取り締まるのは、もはやモグラ叩き状態」「俳優に限らずSNS全般でプライバシー詮索には厳しく対処してほしい」「自分にセクシャリティーな悩みがあるとしたら、自分の気持ちに整理がついたときに自らカミングアウトしたい。理想的な社会はこれです。社会に、周りに、理解があれば恐れるものはないと思うからです」などの意見が寄せられた。
安藤氏は、日本大学芸術学部文芸学科卒。フリーランスライターとして2019年から活動し、現在は主に映画ジャンルでの執筆を行っている。セクシャルマイノリティ/ジェンダー分野に興味を持ち、クィア映画を積極的に鑑賞。自費出版でオリジナルクィア小説を発行するなど、常に多角的な視点、自分の言葉で発信することを信条としている。
Surfvoteでのイシューは週に3~5件発行され、だれでも読むことができる。アカウント登録をすると各イシューに投票したりコメントを書いたりすることもできる。集めた意見や結果は、適宜提言書などに取りまとめ、関係省庁や政治家、関連団体に提出しているという。