食事や運動などを通して腸内環境を整える「腸活」。体の免疫機能向上や、生活習慣病予防の観点から注目されている。厚生労働省が提供する健康情報サイト「e-ヘルスネット」でも、腸内環境を整えることで期待できる健康への効果を発信している。その一つが「ビフィズス菌」の働きだ。
■注目される「腸活」「短鎖脂肪酸」
「e-ヘルスネット」によると、ビフィズス菌は乳酸菌の一種で、主に人間や動物の腸内に存在する代表的な善玉菌であり、整腸作用に加え、病原菌の感染や腐敗物を生成する菌の増殖を抑える効果が期待できるという。「ビフィズス菌」というと、ヨーグルトを連想する人も多いだろう。ビフィズス菌は酸に弱く、口から摂取して生きたまま腸まで届けることが難しいため、さまざまな研究がされているそうだ。
医療・栄養の専門家たちは腸内環境に関連して「短鎖脂肪酸」にも注目している。管理栄養士の金丸絵里加さんによると、短鎖脂肪酸は、体脂肪の低減・基礎代謝向上による抗肥満効果、腸の蠕動運動促進による快便を促す効果、血糖値の急上昇を抑える効果などのほか、免疫機能などにも関係があるといわれているという。この短鎖脂肪酸が腸内で作られる上で関わっているとされるのがビフィズス菌。金丸さんは、食事で腸内の短鎖脂肪酸の産生を高めるために、「ビフィズス菌+水溶性食物繊維」を継続的に取ることを推奨している。
■ビフィズス菌と水溶性食物繊維で短鎖脂肪酸増産を期待
金丸さんは「『ビフィズス菌入りヨーグルト100g+水溶性食物繊維2g』を毎日取り続けることで短鎖脂肪酸が増え、太りにくい体質につながる良好な腸内環境を維持できるようになるといわれています」と解説。さらに、「意識しないと取りづらいのが水溶性食物繊維。便秘解消などでおなじみの不溶性食物繊維は比較的取りやすいものの、水溶性食物繊維は含まれている量がとても少なく、2g取るのは意外に難しい」と指摘する。
■短鎖脂肪酸を増やすヨーグルトレシピ
金丸さんが提案する水溶性食物繊維を含む食材とビフィズス菌入りヨーグルトを使った「おすすめレシピ」を紹介する。
~ヨーグルトにかけて食べるだけ~
【焼き芋とグラノーラヨーグルト】
買ってきた焼き芋とグラノーラ、ヨーグルトを合わせた超簡単レシピ。朝食にはもちろん、おやつにも。しっかり混ぜて食べるとよりおいしくなる。
※材料(1人分)
ビフィズス菌入りヨーグルト(無糖)……100g 焼き芋(市販品)……1/2本(150g)
フルーツグラノーラ……30g
※作り方
① グラスにヨーグルトを入れる。
② 皮をむいてひと口大に切った焼き芋とグラノーラを入れる。
~ヨーグルト・オートミール~
【甘酒ヨーグルトのフルーツオートミール】
水溶性食物繊維が豊富なオートミールをたっぷり使った、寒い季節にもぴったりのレシピ。甘酒を使って腸活パワーをプラスしている。
※材料(1人分)
ビフィズス菌入りヨーグルト(無糖)……100g オートミール……40g 甘酒……100ml
バナナ……小1本(80g) キウイフルーツ……1/2個(50g) ブルーベリー……50g
※作り方
① オートミールに甘酒を加えて軽く混ぜ、ラップをせずに電子レンジ(600W)で約2分加熱、取り出したら上下に混ぜて熱を逃がしながら混ぜ、そのまま5分ほどおいて粗熱を取る。
② バナナは1㎝幅の輪切り、キウイも食べやすい大きさに切る。
③ ①のオートミールに、ヨーグルト、(トッピング用のバナナを3~4枚残して)バナナを崩しながら混ぜて器に入れる。トッピング用バナナとブルーベリー、キウイを盛り合わせる。(甘みをプラスしたい場合は、好みではちみつ(分量外)をかけても)
~主食系~
【ライ麦パントースト ドライフルーツヨーグルトのせ】
ヨーグルトでひと晩戻したぷるぷるのドライフルーツがたっぷりのった朝食にぴったりのトースト。
※材料(1人分)
ビフィズス菌入りヨーグルト(無糖)……100g ドライプルーン……3粒(30g) ドライマンゴー……20g
ライ麦パン……1枚(60g) はちみつ……小さじ2 ミント……適宜
※作り方
① ヨーグルトにドライプルーンとドライマンゴーを入れて、そのまま一晩漬ける。
② ライ麦パンをトースターで焼き色がつく程度に焼き、はちみつを全体に塗り広げる。
③ ①をドライフルーツごとのせ、好みでミントを散らす。
※ドライフルーツや切り干し大根などの乾物を、ヨーグルトにひと晩漬け込んで戻すと、栄養価も食感もアップする。
~料理系~
【キャロットラペのカレー風味ヨーグルトナッツサラダ】
フランスの定番家庭料理「キャロットラペ」をカレーヨーグルト風味にアレンジ。きんかんのさわやかな甘みがポイント。おもてなしにも使えるおしゃれメニュー。
※材料(2人分)
にんじん……大1本(200g) 塩……小さじ1/2 ゆで大豆……80g レーズン……40g
きんかん……4個(50g) くるみ(無塩・ロースト)……40g
<A>
ビフィズス菌入りヨーグルト(無糖)……200g カレー粉……小さじ2 粉チーズ……大さじ2
砂糖……大さじ1/2 塩・こしょう……少々
※作り方
① にんじんはせん切りにし、塩をもみ込んでしんなりしたら軽く水気を絞る。きんかんは薄切りまたは半分に切る。くるみは粗く刻む。
② ボウルにAとレーズンを入れてよく混ぜ、①のにんじんとゆで大豆を加えて混ぜてなじんだら、きんかんとナッツを加え、軽く混ぜ器に盛る。
【鮭と野菜のソテー・ヨーグルトタルタル添え】
メインとたっぷり野菜を一皿で。らっきょうたっぷりのヨーグルトタルタルソースは、魚はもちろん、チキンや野菜などとも相性抜群。
※材料(2人分)
鮭の切身……2切れ 塩・こしょう……少々 小麦粉……適量 里芋……3個(210g)
ブロッコリー……1/2個(80g) トマト……1個(150g) オリーブ油……大さじ1
<A> 白ワイン・水……各大さじ1 しょうゆ……小さじ2
<B:ヨーグルトソース>
ビフィズス菌入りヨーグルト(無糖)……200g はちみつ・粒マスタード……各小さじ2
らっきょう(甘酢漬け)……70g すり白ごま……大さじ2 塩・こしょう……少々
※作り方
① 里芋はよく洗って上下を切り落とし、耐熱皿に並べてふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で3分 加熱、粗熱が取れたら皮をむいて2~4等分に切る。
ブロッコリーは小房に分ける。
B:らっきょうは粗いみじん切りにし、残りの材料を混ぜてヨーグルトソースを作る。
② 鮭は塩少々をふって10分ほど置いて出てきた水けをペーパータオルでふき、こしょうをまぶして、小麦粉を薄くはたきつける。
③ フライパンにオリーブ油を中火で熱し、鮭を並べ入れて焼き、あいたところにブロッコリーと里芋を入れ、Aの材料を振り入れて、ふたをして3~4分ほど蒸し焼きにして火を通す。
器に盛り、半分に切ったミニトマトを添えて、ヨーグルトソースをかける。
~デザート系~
【きなこパンケーキ バナナと栗のヨーグルトクリーム】
きなことあずきと栗とバナナを使った、体にうれしいボリュームたっぷりの大満足パンケーキ。ヨーグルトソースがさっぱり軽い味わい。
※材料(2人分)
ビフィズス菌入りヨーグルト(無糖)……200g バナナ……大1本(120g) 甘栗……60g
ゆであずき……1/2缶(120g) ドライイチジク……2~3個(16g) 調理油……適宜
<生地>
薄力粉……100g きな粉……30g ベーキングパウダー……小さじ1 砂糖……30g
卵……1個 牛乳……150~180g
※作り方
① 生地を作る。牛乳を電子レンジ(600W)で50~60秒加熱し、別のボウルに入れて溶き卵、砂糖と混ぜ合わ せる。薄力粉ときな粉、ベーキングパウダーを合わせてふるい入れ、ゴムべらで粉っぽさがなくなるまで混ぜる。
② フライパンを熱し、ペーパータオルで油を薄くひく。①の生地を玉じゃくしで約1杯分流し入れて4~5分焼く。表面に気泡が出てきたら裏返し、ふたをして約1分焼く。同様に3枚焼く。
③パンケーキ1枚を器にのせ、ヨーグルトに刻んだバナナと甘栗を混ぜてのせ、ゆで小豆に刻んだドライイチジクを混ぜて添えて、残り1枚のパンケーキをかぶせるようにしてのせる。
■働きや食材の相性を知って楽しく腸活
金丸さんは、主なビフィズス菌入りヨーグルトも紹介している。「森永ビヒダスヨーグルト」(森永乳業)、「ナチュレ恵megumi」(雪印メグミルク)、小岩井生乳100%ヨーグルト(小岩井乳業)、ダノンビオヨーグルト(ダノンジャパン)、BifiXヨーグルト(江崎グリコ)などだ。ビフィズス菌は50℃以上になると死滅してしまうため、煮込んだり、アツアツのものにプラスするのは避け、温める場合は、電子レンジで温度設定するなどして温度が上がりすぎないように注意が必要だという。
腸活の定番のヨーグルトも、働きやより健康効果を期待できる食材との組み合わせなどの豆知識があると、調理に取り入れるのも楽しくなりそうだ。楽しみながら腸活をバージョンアップしてみよう。
※腸活について(厚労省サイト)
腸内細菌と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
ビフィズス菌 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)