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お祝いゴトに“社会と環境にやさしい”アートフラワーを 高品質な紙「スーパーフラワー」で作った胡蝶蘭が登場

 食品ロスと同様、花き市場でも売れ残り・規格外品などの廃棄問題を抱え、生花店で取り扱う花の30~40%が廃棄されてしまうといわれている。そのような中、高品質な紙「スーパーフラワー」で作った胡蝶蘭が登場した。

 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(横浜市)の地域みらいプロジェクトと、高級紙を使ったアートフラワー制作、スクール・ワークショップ事業を展開する「MICOHANA」による取り組み。両者は2022 年 8 月から、経済産業省九州経済産業局デザイン経営ゼミを通じ、紙で作る「スーパーフラワー」の事業化に向けて研究を進め、このほど「アートフラワー胡蝶蘭」の販売をスタートした。購入・問い合わせはECサイト「美紙花」(うつくしか)から。

 日本の折り紙の技術を生かし、高級紙を使って一つ一つ手作業で仕上げるアートフラワー。花の生産・流通・販売と廃棄の過程で出る二酸化炭素の排出を削減する、新しい贈り花のモデルを提案。本物の花に劣らない華やかさを長く変わらず楽しめることや、子育てや介護などさまざまな要因で外出困難な人の就労機会創出につながることも、メリットとして挙げている。アートフラワーの普及啓発に向けて、このプロジェクトに参画しているキイストン(東京)の飲食店のネットワークを活用し、開店祝いなどでの活用を通じ、改善点の検証や需要の拡大に向けた実証実験を進めていく。

 背景には、熊本地震後のシングルマザー就労支援から始まった「スーパーウーマンプロジェクト」がある。集った女性たちが、自身のさまざまなキャリアを生かして新規創業に向けて事業展開をスタート。地元企業との連携の中、紙を生かしたアートフラワーの技法を考案し、「スーパーフラワー協会」を設立。職人の育成とワークショップの開催などを行ってきた。その後、経済産業省九州経済産業局「デザイン経営ゼミ」の1期生として選定され、慶応大学の「地域みらいプロジェクト」による支援がスタート。熊本県外での活動を本格化させ、2023年に「MICOHANA 株式会社」として法人化。今年はミラノコレクション、パリコレクションへの参加など活躍の場を広げてきた。