未来世代がはばたくために何ができるかを考えるプロジェクト「はばたけラボ」。食べること、くらすこと、周りと関わること、ワクワクすること・・・。今のくらしや感覚・感性を見直していく連載シリーズ。今回は、弁当作りを通じて子どもたちを育てる「弁当の日」の提唱者・竹下和男(たけした・かずお)先生が、宿泊行事に行きたがらない子どもの悩みについてアドバイスします。
学校行事が苦手な息子 宿泊行事に行きたがらない
【質問】
小学校4年生の息子がいます。今度、学校による初めての宿泊行事があるのですが、「行きたくない」と言っています。学校にも毎日通っていますし、クラスにお友達もいるようですし、具体的に宿泊行事のなにが嫌なのかはよく分かりません。なにかしら不安を感じているのかなと思います。例年、スポーツ大会、学習発表会なども嫌がりますが、半ば無理やり参加させています。このような場合は、親としてどう対応したらいいのでしょうか。
▼普段と何が違うから不安になるのか? 心配なら先生に相談を
兄弟のことが書かれていませんが、一人っ子なのでしょうか。4年生まで普段の通学はできているし、友だちもいるけれど、例年、スポーツ大会、学習発表会は嫌がってきたのなら、当日が普段とどう違うのかを考えるといいですね。自分の短所を、自分のクラス以外の子に見られてしまう、あるいは学校行事に参加する多くの保護者に見られてしまうことに不安を感じているのかもしれません。もしそうなら、今の学級担任は、日常の学校生活では、その不安を取り除いてくれる学級にしてくれていることになります。
宿泊行事について考えてみましょう。宿泊行事は、これまで見せていない自分自身を友だちにさらすことになります。それは「ただいま」と帰宅して、「行ってきます」と登校するまでの時間帯の自分です。食事、入浴、睡眠、排せつ・・・。
私は担任として小学6年生と何度も修学旅行に行きました。ときどき保護者からわが子のオネショの心配を相談されました。こっそり対応してきましたから一度も失敗はなく、その子たちはその後の学校生活での自信になっていきました。
男の子は、学校のトイレで大便をする子が少ないです。休み時間、トイレに友だちがいっぱいいるときに大便の個室に入っただけで「くさい」とか「屁の音が聞こえた」とからかう子がいるからです。授業中にトイレに行くことも「大便に行きます」と宣言していることになります。ふだんは帰宅後、便意に合わせていつでもトイレに入れますが、宿泊行事が近づき、緊張状態になると便秘気味になります。宿泊学習の一泊だけでなく、それ以前から便秘状態になっていると心配は大きくなります。
歯ぎしりや寝言やいびきを心配するケースもあります。これは本人の自覚のないところで、友だちみんなにマイナスのイメージを持たれてしまうのがつらいのです。
いつも親に添い寝をしてもらっていると、横に親がいないのが不安です。暗闇が怖い子は、就寝時の照明の具合が気になります。明るいと寝られなかったり、暗いと眠れなかったり・・・。
このような心配事は事前にまとめて学級で話し合うと、4年生くらいなら、お互いの違いを受け入れて、理解のある行動がとれるようになります。これはその後の学校生活を充実させるためにとても大切なことです。そのために集団宿泊行事があると言ってもいいのです。ご心配なら、担任の先生や学年主任の先生に相談されることをお勧めします。
竹下和男(たけした・かずお)/1949年香川県出身。小学校、中学校教員、教育行政職を経て2001年度より綾南町立滝宮小学校校長として「弁当の日」を始める。定年退職後2010年度より執筆・講演活動を行っている。著書に『“弁当の日”がやってきた』(自然食通信社)、『できる!を伸ばす弁当の日』(共同通信社・編著)などがある。
#はばたけラボは、日々のくらしを通じて未来世代のはばたきを応援するプロジェクトです。誰もが幸せな100年未来をともに創りあげるために、食をはじめとした「くらし」を見つめ直す機会や、くらしの中に夢中になれる楽しさ、ワクワク感を実感できる体験を提供します。そのために、パートナー企業であるキッコーマン、クリナップ、クレハ、信州ハム、住友生命保険、全国農業協同組合連合会、日清オイリオグループ、雪印メグミルク、アートネイチャー、ヤンマーホールディングス、ハイセンスジャパンとともにさまざまな活動を行っています。