マスクをしながらアクリル板の仕切りで恐る恐る乾杯したコロナ禍を超えて、今年はお店での忘年会が増えているかもしれない。だが、帝国データバンク(東京)によると、居酒屋の倒産は年間最多だ。
負債1000万円以上の法的整理による倒産について、1月~11月30日までのものを集計。大衆酒場や焼き鳥店など「居酒屋」経営事業者の倒産は203件で、コロナ禍の打撃を受けた2020年(189件)を大幅に上回り、年間最多を更新することが確実となった。居酒屋ニーズの変化や酒類・食材など原材料の仕入れ価格高騰、人件費の上昇といったコストアップが重なり、居酒屋の苦戦が鮮明になっている。
10月までの推移を基にした今年度の居酒屋市場規模(事業者売上高ベース)は、推定で約1兆6600億円。コロナ禍の影響で大きく落ち込んだ21年度(約8900億円)から年々増加傾向にあるものの、過去10年で最高だった17年度(約1兆8900億円)の水準には届きそうにない。
食材や酒類などの仕入れ価格が高止まりしているほか、人手不足による人件費、電気・ガス代など光熱費、地代・家賃などの負担増が重なり、収益を大きく圧迫、厳しい経営環境が続いている。2023年度における居酒屋の損益状況をみると、最終損益が「赤字」となった居酒屋が約4割。コスト増による収益の圧迫で「減益」のケースを含めた「業績悪化」の割合は6割を超えた。