カルチャー

日本全国の“感動建築”86作品を収録 写真家・高橋福生氏の『感動建築』が刊行

 この建築を、一度は自分の目で見てみたい――。そんな衝動を呼び起こす一冊が登場した。名建築が「もっとも美しく見える瞬間」を撮り続けてきた写真家・高橋福生(たかはし・とみお)氏の集大成『感動建築』(文・編集/中田薫)が、大洋図書から刊行された。全国各地から厳選された名建築86作品が持つ“魂”に迫る写真紀行。税込み2970円。

 「水と光の情景写真家」として活動する高橋氏。風が止み、水面が鏡のように建物を映し出す瞬間や、日没後のわずかな時間帯に建築が最も美しく輝く「マジックアワー」を追い続けてきた。同書は単なる建築ガイドや写真集にとどまらず、奇跡のような瞬間を捉えた写真とともに、建築家の思想や空間の魅力を掘り下げている。

 第1章「日本の感動建築」では、建築家・安藤忠雄氏が手掛けた北海道の「真駒内滝野霊園 頭大仏殿」、坂茂氏設計の「静岡県富士山世界遺産センター」、藤森照信氏の「空飛ぶ泥舟」、隈研吾氏の「雲の上のギャラリー」などを紹介。水田に映り込む姿が幻想的な「ショウナイホテル スイデンテラス」など、風景と建築が一体化した作品群も見どころだ。

 第2章「東京の感動建築」では、丹下健三氏の代表作「東京カテドラル聖マリア大聖堂」をはじめ、「国立競技場」「麻布台ヒルズ」「国立新美術館」など、首都圏を代表する建築を網羅。

 第3章では、世界的に注目を集めた渋谷区の公共トイレ整備プロジェクト「THE TOKYO TOILET」の12施設を特集し、公共建築の新たな価値観にも光を当てている。また、惜しまれながら姿を消した名建築を振り返る「さよなら感動建築」も収録。解体された「三基商事東京本部第1ビル」など、失われた建築文化へのオマージュが込められている。

 さらに、世界的建築家・隈研吾氏のスペシャルインタビューや、日本画家・千住博氏の「軽井沢千住博美術館」を舞台にした特別撮り下ろし企画も掲載。建築ファンはもちろん、旅好きや写真愛好家にとっても、日本を新たな視点で巡るための永久保存版となりそうだ。