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動物の外来種化は「ペット利用」 農作物の被害や感染症も、WWFが報告書を発表

 動物好きが高じて珍しい外来種をペットとして飼育する。法律の範囲内で最後まで責任持ってかわいがることができるならいいが、途中で飼いきれなくなって遺棄すると日本の生態系を変えてしまう。その結果、農作物への被害や感染症の流行など、人間への悪影響として返ってくることにつながる。外来生物法施行から20年、世界自然保護基金(WWF)ジャパン(東京)が、「ペット由来動物の外来種化に関する報告書」を発表した。日本における動物の外来種化の主な要因は「ペット利用」と確認されている。

 多種多様な野生動物がペット目的で輸入され、ペットショップ、展示即売会(フェア)などで広く販売されている。その一方で、飼育している動物の逸走や飼いきれなくなったペットの遺棄により、外来種として定着し、さらに在来の生態系、人の健康や農林産業に悪影響を及ぼす「侵略的外来種(IAS)」となる例が相次いでいる。世界の野生生物の個体群は1970年から2020年のわずか50年で平均73%減少したという。生物多様性の急速な劣化が進んでいることも、こうした問題への対処が急務である背景にある。

 調査によると、2015年版生態系被害防止外来種リストや都道府県の外来種リストなどに掲載されている哺乳類・鳥類・は虫類を分析した結果、哺乳類の32%、鳥類の76%、は虫類の76%がペット目的で利用されていた。観光施設などでの展示目的と合わせると、その割合はさらに高まる。国内のペットショップやは虫類フェアで記録された148種のうち、複数の国際的外来種データベースとの照合で26種(17.6%)を確認。特に日本での取引量が多いボールパイソンやコーンスネークは今後国内で外来種化する潜在リスクが高いことが示唆されたという。

 ペットとして持ち込まれた動物が野外で定着し、在来生態系に深刻な影響を及ぼしている例の一つはアライグマ。1970年代以降の大量輸入とペット利用を経て、現在は46都道府県で生息が確認されているという。農作物被害は2023年に4.8億円にのぼり、文化財や住宅の損傷、寄生虫や人獣共通感染症のリスクも懸念されている。

 一度崩壊した生態系を元に戻すことは難しい。野生動物のペット利用が、外来種問題だけでなく感染症リスクや生物多様性の損失にもつながり得ることを改めて胸に刻む必要があるだろう。