チェコが生んだ希代の芸術家、アルフォンス・ミュシャ。彼の作品は今なお世界中のクリエーターにとって、尽きることのないインスピレーションの源だ。優美なアールヌーボーの絵画やポスター、装飾パネルに魅せられてチェコを訪れる日本人ファンも多い。その芸術の核心である「ミュシャ様式」の全貌を解き明かす『アルフォンス・ミュシャ装飾図譜 -曲線と色彩の世界-』(テラサ・バーナード著、ボーンデジタル、税込み3300円)が3月下旬に発売される。
ミュシャの作品を特徴づけるのは、流れるような描線と緻密で複雑な装飾。ポスターデザインに革命をもたらしたとされる「ジスモンダ」のポスターは、縦に細長い構成とやわらかな描線が組み合わさることで、ポスターに品位と落ち着きをもたらした。
精巧な花のモチーフや装飾的な要素、印象的な色彩表現は、ミュシャ独自の様式を形づくった。宝飾品、壁紙、室内装飾など幅広い領域に応用されたそのデザイン力は、1902年刊行の『装飾資料集』にもまとめられ、現代のクリエーターがデザインの法則を学ぶ上での必読書になっている。
広告ポスター、装飾パネル、書籍挿絵、そして最大の連作である「スラヴ叙事詩」まで、ミュシャが残した多岐にわたる創作の軌跡をたどり、時代を超えて人々を魅了し続ける「美の秘密」を発見できる一冊。優雅な女性像に学ぶ構図とシンボルの力、印象的な「光背」(ハロー)や緻密な花文様を使いこなす表現術などを知ることができる、ミュシャファンと、創造性を追求するイラストレーターやデザイナーに向けた決定版だ。










